映画‗ドキュメンタリー
阿佐ヶ谷の自宅が道路拡張計画により立ち退きされる予定だと知って驚いたペヤンヌ監督。調べてみると、どうも田中良区長(当時)が杉並区のあちこちに大きい道路を作ろうと強行しており、阿佐ヶ谷だけでなく西荻窪や高円寺でも反対運動が行われている。
待ちに待った「Side:B」を公開日に観に行ったところ、たしかにそこには河瀨直美監督による作家性で充満していた。それもリーフェンシュタールなんて比較にならないほどの狂気に満ちた作家性が。
河瀨直美監督には日本のレニ・リーフェンシュタールになってほしいと、皮肉ではなく願っている。河瀨監督がその域まで到達するには、まずは本作に『オリンピア』相当の作家性が無くてはいけないのだが…。
菅義偉を題材にドキュメンタリー映画を撮るならば、その狂気の源が、現在の日本政治の構造的な問題か、あるいは菅義偉という人間性に理由があるのか、そこを追究していると誰もが思うだろう。
都営霞ヶ丘アパートの知名度は、どれくらいあるのだろうか。2020年(後に1年延期)の東京オリンピックのために国立競技場の建て替えが行われた際、邪魔だからと取り壊されたアパートである。国立競技場の設計案がザハ・ハディドから隈研吾へと二転三転する中…
時は2016年。富山市議会で議員報酬を月10万円以上も引き上げる条例案が可決される。市民の反発を買う一方、地元のテレビ局・チューリップテレビは、報酬等審議会の議事録と政務活動費の支出伝票を公開請求して取り寄せる。活動記録と伝票をひたすら突き合わ…
最近観た邦画3作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。
73点 東海テレビの報道フロアを一年以上追ったドキュメンタリー映画である。まずは監督・ひじ方宏史が、フロアのスタッフにA4用紙1枚の企画書を配り、カメラを回し始める。いきなり取材対象にされたスタッフ達からは「取材はお互いの同意の上でするべき…
74点 あるテーマに沿って、様々な主張を持つ多くの人物たちのインタビューをメインに並べ、合間に関連する映像や写真などの資料を挟み込む。ドキュメンタリー映画の手法のひとつとして定番であるが、素人(役者ではない人、という意味で)が喋っているのを…
63点 ドキュメンタリーは、まず事実を伝えなくてはいけない、とされている。とりあえずタテマエでは。たとえば「こんなに酷いことになってますよ」というように、まず事実を提示したうえで、さらにその先にある何か深いものを垣間見せると、素晴らしいドキ…
61点 映画は、商店街の一角を焼き尽くす火災の映像から始まる。消火活動にあたっていた消防士のインタビューをもとに、当時の惨状が生々しく示されていく。焼失したのは約22万5000haという広範囲で、1774棟もの建物が失われた。数字だけ見てもピンと来ない…
64点 時の権力者と親密な関係を持ち、都市計画を牛耳っている大物デベロッパーが、貧困層が住む街区を取り壊して高層ビルや道路を作ろうと計画する。そこに現れた一介の庶民でもある女性ジャーナリストが無謀にも立ち向かい、計画を中止させることで、住民…
54点 萩本欽一のことをちゃんと認識したのはいつだったか。ボク(37歳)の年齢だと、欽ちゃんの全盛期は生まれる前の歴史でしかない。存在を知ったのは『欽ちゃんの仮装大賞』だが、かつてTVにおいて超人だったと知ったのは、漫画『ちびまる子ちゃん』では…
監督:伏原健之配給:東海テレビ放送/公開:2017年1月2日/上映時間:91分出演:津端修一、津端英子/ナレーション:樹木希林 スポンサードリンク // 55点その年の一番最初に公開される映画を初日に観に行くのも、毎年恒例になってきている。といっても3年連続で…
監督:遠藤尚太郎配給:松竹メディア事業部/公開:2016年10月1日/上映時間:110分出演:テオドル・ベスター、山本益博、服部幸應、犬養由美子、道場六三郎 スポンサードリンク // 47点どうも皆様、お久しぶりです。当ブログに関しては、約2ヶ月ぶりの更新とな…
監督:森達也/撮影:森達也,山崎裕/編集:鈴尾啓太配給:東風/公開:2016年6月4日/上映時間:109分出演:佐村河内守ほか 83点森達也監督の15年ぶり(共作を除く)の新作映画『FAKE』は、2014年のいわゆるゴーストライター事件でメディアから徹底的に叩かれた「現…
監督:土方宏史/プロデューサー:阿武野勝彦配給:東海テレビ放送/公開:2016年1月2日/上映時間:96分 75点「その年の最初に公開される映画を初日に観る」というのが、いつの間にか自分の中で毎年恒例になっている。初詣みたいなものか。2016年で最初に公開され…
安藤忠雄と伊東豊雄という日本建築界の現在のトップ2が、国に対して憂うところから、本作は始まる。安藤は東京五輪を例に出して「ヴィジョンがない」と言い、伊東は東日本大震災後の国による近代主義的な対応に「無力感を感じた」と嘆く。 本作は、70年代以…