【邦画新作】『あたしの!』ネタバレあり感想レビュー・・・イケメンをダシにして女同士の友情を濃密に描く学園ラブコメの革命

監督&撮影&編集:横堀光範/脚本:おかざきさとこ/原作:幸田もも子
配給ギャガ/上映時間:102分/公開:2024年11月8日
出演:渡邉美穂、木村柾哉、齊藤なぎさ、小田惟真、笠井悠聖、藤田ニコル、山中柔太朗
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JO1に続いて、INIも学園ラブコメ映画に参入してきた。長い間、ひとつの事務所の寡占状態だったジャンルにも、ようやく門戸が解放されたのである。いやまあ、LDHや特撮出身の役者もよく出ているわけで、そこまで寡占だったかどうかは議論の余地はあるが。でも、出演者のイメージプランニングに重きを置く事務所の影響により、ジャンルの振り幅が小さくなっていた感は否めない。
ジャンルが解き放たれた実感は、本作『あたしの。』の配役からして明らかである。なんと、男性アイドルの相手役となる主人公の女性を演じているのもアイドルなのである。厳密には、すでにグループは卒業していてNHK朝ドラにも出演しており役者業に舵を切っている真っ最中といった感じだが、それでも現時点ではアイドルとしてのイメージが強い。
もちろん女性アイドル主演の学園ラブコメ映画も過去に例はあるのだが、多くの場合は新進の俳優か、あるいはモデル出身者が務めることが多い。このジャンルは、まず第一にイケメンを演じる男性アイドルのファンに向けており、相手役である女性主人公は観客が疑似恋愛を体感するための代理として存在する。そういう意味では、普段から「私もあんな風になりたい」と思われるべく女性の憧れとして振る舞う職業であるモデルは、たしかに向いている。
しかしこれがアイドルだとどうだろうか。一般論としてアイドルとは、ファンに崇拝されるべく本人の魅力を振りまく職業である。いや、いろいろあるだろうけど、あくまで一般論として。自己アピールこそがアイドル最大の使役であるが、しかしその特性は観客視点の代理としてメインの男性アイドルを引き立てる役割には向いていないのではないか。
そんなこんなで映画を観たわけだが、驚くことの連続であった。まず、やはりというべきか、とにかく主人公の存在感が際立っている。さすが大人数のメンバーの中から人気を勝ち取ってきたアイドルが演じているだけあって、いくらコミカルに動き回ろうが変顔をしようが、そのオーラを消すことはできていない。設定上のキャラクターも、地味で内気な女子なんていう学園ラブコメの定番とは真逆で、積極的にイケメンにアピールしていく猪突猛進型だ。あふれんばかりのバイタリティで、完全に男性アイドルを食ってしまっているのである。
しかもこの話、どう考えても主題は恋愛ではなく、主人公の親友との友情なのである。イケメンとの恋愛は、その友情物語を盛り上げるためのサブ要素、というか小道具にすぎない。多くの観客が目当てとしている男性アイドルは、女同士の友情物語のダシにされているのだ。学園ラブコメというジャンルにおいて絶対的に最優先されてきた男性アイドルの存在が、ここまで軽く扱われることが今まであっただろうか。
では、簡単なあらすじ。高校2年生の関川あこ子は、小学生のときにいじめられていたところを助けて以来ずっと、谷口充希とは親友同士である。充希がクラスで他の女子からシカトされていた時も、あこ子だけは話しかけていた。念のため繰り返すけど、いじめっ子をやっつけた勝ち気なほうが主人公だからね。ここだけでも、まあまあ異例である。
注意:このあとの有料部分において映画の内容に触れていますので、未見の方はネタバレにご注意ください。