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【邦画/ドキュ】『人生フルーツ』感想レビュー--どんな人だってカメラが密着すればそれなりのものは撮れる

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監督:伏原健之
配給:東海テレビ放送/公開:2017年1月2日/上映時間:91分
出演:津端修一、津端英子/ナレーション:樹木希林

 

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55点
その年の一番最初に公開される映画を初日に観に行くのも、毎年恒例になってきている。といっても3年連続で、1月2日にポレポレ東中野で公開されるドキュメンタリー映画がそれに当たるわけだが。2017年の一発目は『人生フルーツ』という東海テレビ放送が制作したドキュメンタリー映画。去年の『ヤクザと憲法』など攻めた企画が多い東海テレビ放送だが、今回は建築家でもある老夫婦の暮らしぶりを追うという穏健な内容だという。

それにしてもバリバリ正月真っ只中の1月2日だというのに、上映の40分前で満席ってのは意外だった。東海テレビにもポレポレ東中野にも固定ファンが一定数いるってことなのかな。仕方ないので次の回のチケットを買ったのだが、約2時間を東中野で潰さないといけなくなってしまった。うん、暇潰しには向かない町だな、ここ。

さて『人生フルーツ』。津端修一という建築家と、その妻である英子の慎ましい生活を、淡々と撮影している。津端修一といえば団地の計画で有名な建築家であり、一級建築士学科試験の過去問でおなじみ高蔵寺ニュータウン(2016年も出題されたっけ)なんかを手がけている。晩年はその高蔵寺ニュータウンの片隅に木造の平屋を建てて自邸とし、周囲に森と畑をこしらえて食物を育て、半分自給自足の生活を送っていた。

建築業界で働いており、一級建築士の資格を持っている(自慢してます)という個人的な立場を絡めれば、津端修一の建築家としての側面があまり紹介されないのは期待外れではあった。主題がそっちじゃないってことなんだけど。自分の思い描いていた設計像とは裏腹に無尽蔵に肥大化したニュータウンへのせめてもの抵抗にと、その片隅に雑木林を作ってしまう辺りの信念はちょっと面白いが。ただこの映画、農作業して奥さんが料理を作ってそれを食べてという繰り返し。もちろんそれはニュータウンに雑木林を作ったということに繋がっているのだが、ほぼそれだけ。90分もあるのに。

ちょっと「うわっ」って思ったのは、娘が子供の頃にペンシルバニアファミリーの家が欲しいと行った時、プラスチックは良くないと自ら木で家の模型を作ったというエピソード。否定するだけで終わらせず自分で作っちゃうのは感心するけれど、「プラスチックは良くない」という言葉に対して何も引っかからない人をターゲットとした映画なんだろうなあって思った。

でもなあ、身も蓋もないことを言っちゃうと、どんな人だってカメラが密着すればそれなりのものは撮れるというだけのような気もする。もちろん、死に顔まで撮影許可させてもらえるほどの交渉力とかは驚くけれどさ。まあ、ボクがこういうのに何も感じないってだけか。相性が悪かったってことで。

 

 

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