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【邦画】最近観た邦画レビュー--『リバー、流れないでよ』『東京リベンジャーズ2』『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』

 

注意:直接的にラストには触れていませんが、未見の方はネタバレにご注意ください。

 

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『リバー、流れないでよ』
監督:山口淳太/脚本&原案:上田誠
配給:トリウッド/上映時間:86分/公開:2023年6月23日
出演:藤谷理子、鳥越裕貴、永野宗典、角田貴志、酒井善史、諏訪雅、石田剛太、中川晴樹、土佐和成、早織、久保史緒里、本上まなみ、近藤芳正

とある旅館を舞台に、ある2分間がタイムリープして何度も繰り返される。その繰り返される時間をワンカットで、しかも実際にちょうど2分の尺で撮影して、それを何十回も繰り返している。これはもはや実験映画の域であろう。他の演劇出身の映画監督や脚本家(三谷幸喜、宮藤官九郎など)と同様にヨーロッパ企画の上田誠もまた常に「演劇では不可能なこと」を映画に求めているが、その果てに映画というジャンルそのものを解体&再構築するまでに至るあたり、稀有で貴重な才能である。撮影上の都合のため、タイムリープのたびに晴れていたり雪が積もっていたりと変化するのですら、映画の偶然性を表現しているかのよう。
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『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』(運命/決戦)
監督:英勉/脚本:高橋泉/原作:和久井健
配給:ワーナー・ブラザース映画/上映時間:90分、96分/公開:2023年4月21日、6月30日
出演:北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、鈴木伸之、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、永山絢斗、村上虹郎、高杉真宙、間宮祥太朗、吉沢亮、高良健吾

まず誰もが思うこととして、2部作にする意味がほとんど無い。特に前編は、終盤の結構な尺を「後編のプロローグ」に費やしており、1本の映画としてみれば構成が破綻していて観客に対して極めて不誠実だ。タイムリープは「主人公の目的」を示すためだけの小道具に成り下がり、なんと後編では冒頭で”過去”に飛んで以降、一度も”現在”には戻らずに話が終わってしまう。それは本来あってはならないことなのだが、もしかして『東京リベンジャーズ』をSFとして捉えるのは間違っているのか?
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『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』
監督:増井壮一/原作:鴨志田一/原作イラスト:溝口ケージ
配給:アニプレックス/上映時間:73分/公開:2023年6月23日
出演:石川界人、瀬戸麻沙美、久保ユリカ、東山奈央、種崎敦美、内田真礼、雨宮天

人気のライトノベル・シリーズを原作としたアニメの最新作。シリーズ最大の持ち味であるはずのファンタジー要素は控えめというかほとんどなく、いわゆる引き篭もり状態である主人公の妹が中学卒業を機に外界に一歩踏み出そうとする、精神的な冒険と成長が淡々と描写される。アニメのファン以外の者にとっては盛り上がりの少ない平坦な話ではあるが、劇的ではない作品が挟まれるのもまた、シリーズのファンからすれば嬉しいことなのかもしれない。
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