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【邦画】最近観た邦画レビュー--『君は放課後インソムニア』『1秒先の彼』『キングダム 運命の炎』

 

注意:直接的にラストには触れていませんが、未見の方はネタバレにご注意ください。

 

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『君は放課後インソムニア』
監督:池田千尋/脚本:高橋泉、池田千尋/原作:オジロマコト
配給:ポニーキャニオン/上映時間:113分/公開:2023年6月23日
出演:森七菜、奥平大兼、桜井ユキ、萩原みのり、上村海成、安斉星来、永瀬莉子、川崎帆々花、工藤遥、斉藤陽一郎、田畑智子、でんでん、MEGUMI、萩原聖人

不眠症という共通の悩みを持つ高校生の男女が使われていない天体望遠鏡の下で劇的に出会うところから始まり、観客の琴線を狙い撃ちにしたかのように「ザ・青春」的な要素が次々と放たれる。甘酸っぱさに悶えさせることに一点集中させた、きわめて正統なボーイミーツガールもの。自身の恋愛感情を堂々と認めることをもって成長とするのと、高校生が青春を送るうえで一番強大な壁となるのが親の存在としているあたりに、ひとつのジャンルに真正面から立ち向かっている気骨を感じる。そんなに劇的ではない終わり方も、すっきりしていて良い。
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『1秒先の彼』
監督:山下敦弘/脚本:宮藤官九郎/原作:チェン・ユーシュン
配給:ビターズ・エンド/上映時間:119分/公開:2023年7月7日
出演:岡田将生、清原果耶、福室莉音、片山友希、しみけん、笑福亭笑瓶、羽野晶紀、加藤雅也、荒川良々

宮藤官九郎脚本の主人公がいけすかないやつであるのは、よくある。本作の主人公の男も「洛外は京都ではない」と独りよがりに主張する嫌味な京都人である。そしてまた、劇中で特に改心することなく終わるのも、いつも通りだ。女からの無性の愛によって知らぬ間に男が救われている見方によっては気持ち悪い構図は、元ネタの韓国映画の配役を男女逆転した故の歪みだろうか。疑問点の多いSF設定は目を瞑るとしても、どうにも山下監督と宮藤官九郎の互いの持ち味が相殺されているようで物足りなく感じる。電子レンジのくだりでの、何も仕掛けが施されていない種明かしとか、いつもの宮藤官九郎脚本であればあり得ない。
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『キングダム 運命の炎』
監督:佐藤信介/脚本:黒岩勉、原泰久/原作:原泰久
配給:東宝、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/上映時間:129分/公開:2023年7月28日
出演:山崎賢人、吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、杏紫夏、山田裕貴、高嶋政宏、要潤、加藤雅也、高橋光臣、平山祐介、片岡愛之助、山本耕史、玉木宏、佐藤浩市、大沢たかお

今にも国が滅びるかもしれぬのっぴきならぬ状況で、独白による回想シーンが上映時間の約半分を占める構成は、その過去がどれほど重要であったとしても「そんなことしてる場合か」という冷めた気持ちが没入感への邪魔をする。単に、回想に入るタイミングを変えればいいだけなのだが。後半の戦のシーンになると、登場人物たちの思想や感情や成長がそのまま戦況と重なり合って勝敗にも直結するという、前作と同様のダイナミズムを堪能できる。
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