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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』『PLAN 75』

最近観た邦画2作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』
監督:西谷弘/脚本:東山狭/原案:コナン・ドイル
配給:東宝/上映時間:119分/公開:2022年6月17日
出演:ディーン・フジオカ、岩田剛典、新木優子、広末涼子、村上虹郎、渋川清彦、西村まさ彦、山田真歩、佐々木蔵之介、小泉孝太郎、稲森いずみ、椎名桔平

世界各国で20回以上も映像化されている、あまりに擦られ過ぎた小説が原案である以上、魔犬さえ出しておけばほかは何を変えようが文句は出るまい。だとすると、魔犬以外では原案から引き継がれたほぼ唯一の要素である遺産相続の件が、むしろ物語に余計な邪魔している。今の日本の法律からすると無理がある(あの遺言書の法的効力は如何ほどか)し、遺産の部分を全てカットしても物語に支障は無いのだから。太古の昔からホームズ作品の映像化のほとんどがキャラクターものとしてしか評価されてないのを考えれば、ディーン・フジオカは程よく仕上がっているものの、もっとエキセントリックにしても良かったし、脇の登場人物たちが大人しすぎる。
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『PLAN 75』
監督&脚本:早川千絵
配給:ハピネットファントム・スタジオ/上映時間:112分/公開:2022年6月17日
出演:倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実、ステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美

75歳になった後期高齢者には自ら生死を選択できる制度「プラン75」が施行された日本を舞台にした、広い意味でのディストピア映画。事件といえるようなものはラスト近くまで起こらず、制度によって幾ばくかの影響を受けている複数の登場人物の日常を追いながら、ゆっくりだが確実に悪化していく社会を一歩引いた視点で捉えていく。「プラン75」が何年か後に現実になりそうなリアリティも相まって、手の届かないところで決定される国の施策に一般の庶民が影響され翻弄されていくまさに今現在の日本を覆う閉塞感と、システマティックな社会と生身の人間との祖語から発生する悪循環の抽出に成功している。カンヌ映画祭・カメラドールのスペシャルメンションを受賞。
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