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【邦画】最近観た邦画レビュー--『劇場版SAO プログレッシブ 冥き夕闇のスケルツォ』『貞子DX』『天間荘の三姉妹』『グランギニョール』

 

注意:直接的にラストには触れていませんが、未見の方はネタバレにご注意ください。

 

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『劇場版 ソードアート・オンライン プログレッシブ 冥き夕闇のスケルツォ』
監督:河野亜矢子/原作&ストーリー原案:川原礫
配給:アニプレックス/上映時間:100分/公開:2022年10月22日
出演:戸松遥、松岡禎丞、水瀬いのり、井澤詩織、安元洋貴、関智一、本渡楓、永野由祐、大塚剛央

チート設定の男主人公の周囲に女が寄ってきてハーレム状態となる昨今のライトノベルの潮流を作った人気作品のストーリーを、正ヒロインの視点によって語り直すシリーズの2作目。すでにある物語を多視点的に解体することで新たな着想が現れるかと期待しているが、どうやら本作の感じからすると、女が強くなり男を守る意思を持つことをもって成長としているようである。それもまあ自立した女性の表現かもしれないが、今後、男にとって都合の良い母的な存在にならないよう祈る。
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『貞子DX』
監督:木村ひさし/脚本:高橋悠也
配給:KADOKAWA/上映時間:99分/公開:2022年10月28日
出演:小芝風花、川村壱馬、黒羽麻璃央、八木優希、渡辺裕之、西田尚美、池内博之

木村ひさし監督のお家芸である、キャラクターコントみたいな人物造形と、テンポは良いがその場限りのおもしろ会話劇ばかりが目立つ。同じく木村監督が関わっている『TRICK』や『99.9-刑事専門弁護士』と同じカテゴリの作品とすら思えるほど。貞子は、そんな木村監督のやりたいことに利用されているだけで、もはや存在感すら希薄。貞子をウィルスみたいに扱うのは原点回帰かもしれないけど、なんか扱いが粗雑なのは、和製ホラーを世界レベルで隆盛させた立役者に対して失礼ではないか。まったく恐怖を煽る気が無いのは、ホラージャンルの究極系と言うべきか、それともジャンルの敗北か。
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『天間荘の三姉妹』
監督:北村龍平/脚本:嶋田うれ葉/原作:高橋ツトム
配給:東映/上映時間:150分/公開:2022年10月28日
出演:のん、門脇麦、大島優子、高良健吾、山谷花純、萩原利久、平山浩行、柳葉敏郎、中村雅俊、三田佳子、永瀬正敏、寺島しのぶ、柴咲コウ

「あの世」と「この世」の狭間にある旅館を舞台とした話。定番の設定だし、客として訪れる臨死状態の人たちの抱える悩みも凡庸のレベル。そして死生観を問う以上は、自然とスピリチュアルと親和性の高い話になっていく。カメオ出演しているタレントの中にも、そっち側らしき人が複数いるし。だがそんなスピリチュアルな空間に注入されるは、のん。何を演じようが持ち前のエキセントリックとポジティブが滲み出てしまうのんが中心にいる以上、どんな崇高なテーマを持った作品だろうが自分の色に塗り替えてしまうのは自明であり、本作に関してはそれが功を奏していた。もっとも、のんが現世に戻ってからは明らかに上映時間の無駄遣いだし、いきなり現れた変な女に死んだ家族の話をされるのは普通に気味悪いとは思うが。
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『グランギニョール』
監督:橋本一/脚本:吉崎崇二
配給:?/上映時間:84分/公開:2022年10月28日
出演:小宮璃央、浦上晟周、曽田陵介、山田瑛瑠、市川理矩、笹森裕貴、脇知弘、金子みひろ、中尾暢樹、小池里奈

橋本一監督による東映残酷映画イズムが炸裂しており、フィルム撮影のような薄暗くザラザラとした質感の中で、若きイケメンたちの血や内臓やイチモツが飛び散りまくるスプラッター。もちろん同性同士による性行為描写も真正面から捉えている。エロとグロに対して、ひたすら過激さを追求する橋本監督のブレない姿勢には素直に敬意を払う。ただ物語のオチに関しては、古くから伝わる因習まではいいとしても、とってつけたような「隠しカメラによって殺戮が生配信されている」という種明かしは無粋な気も。
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【お知らせ】

2022/11/06「おもしろ同人誌バザール神保町」と2022/11/20「文学フリマ東京」にて、新刊「邦画の値打ち2022」を頒布予定です。各イベントの公式サイトは以下。

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文学フリマ東京35(2022/11/20) | 文学フリマ

 

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