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【邦画】最近観た邦画レビュー--『"それ"がいる森』『四畳半タイムマシンブルース』『七人の秘書 THE MOVIE』

 

注意:直接的にラストには触れていませんが、未見の方はネタバレにご注意ください。

 

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『"それ"がいる森』
監督:中田秀夫/脚本:ブラジリィー・アン・山田、大石哲也
配給:松竹/上映時間:107分/公開:2022年9月30日
出演:相葉雅紀、松本穂香、上原剣心、江口のりこ、眞島秀和、宇野祥平、松浦祐也、酒向芳、野間口徹、小日向文世

"それ"の正体については最初から隠す気が無かったし別にいいのだが、住宅地に隣接していて子供でも軽装で入れる程度の「森」に、得体のしれない何者かが潜んでいるような異質な空間としての怖さは無い。指名手配犯の車が公道に1週間も放置、行方不明の子供の失踪地点に落ちているスマホに気づかないなど、主人公たちを無理くり動かすための無能な警察が今回も登場。大量の人間が無残に殺され、子供3人が消えたままの状況で大団円みたいな終わり方をするのには首をかしげる。
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『四畳半タイムマシンブルース』
監督:夏目真悟/原作(原案):上田誠/原作(著):森見登美彦
配給:KADOKAWA、アスミック・エース/上映時間:92分/公開:2022年9月30日
出演:浅沼晋太郎、坂本真綾、吉野裕行、中井和哉、諏訪部順一、甲斐田裕子、佐藤せつじ、本多力、上田誠、石田剛太、酒井善史、土佐和成、永野宗典

森見登美彦とヨーロッパ企画とサイエンスSARUとアジアン・カンフー・ジェネレーションと中村佑介は、同じ箱の中に入っており、互いにくっついてひとつの大きな塊になってしまったかのようである。夏場の箱キャラメルみたいなイメージ。だからこそ、本来は独立している世界観であるはずの『四畳半神話大系』と『サマータイムマシン・ブルース』が違和感の潜り込む隙間もなく完全に融合し、濃密な空間を形成するのだろう。センスの良さを鼻にかけたサブカルらしい嫌味な部分を残しつつも、SFとしての仕掛けも青春物語としての叙情性も愛らしいキャラクターも、とにかくどこを取っても高度なレベルで完成させているのは驚異的。
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『七人の秘書 THE MOVIE』
監督:田村直己/脚本:中園ミホ
配給:東宝/上映時間:118分/公開:2022年10月7日
出演:木村文乃、広瀬アリス、菜々緒、シム・ウンギョン、大島優子、室井滋、江口洋介、玉木宏、濱田岳、吉瀬美智子、笑福亭鶴瓶

まず第一に、主要な舞台となる「信州の山奥にある豪邸」の位置する地理がまったくイメージつかない。周囲が雪で覆われた陸の孤島のようでいて、近所にそれなりの数の人が住んでおり周囲に温泉旅館も飲み屋も動物園もあるらしい不思議な場所。このように、作品全体が安易なイメージだけで構成されており、そのため「清掃員や警備員という劣悪な仕事」なんて差別的なことを無邪気に言えてしまう。物語上も、いかにもな悪人風の人物がそのまま悪人だったという単純な筋は目を瞑るとしても、秘書として組織内部に潜入するのは手間の割に収穫が少ないし、アクションも場当たり的に発生するだけで話との脈絡がないので盛り上がらない。

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【お知らせ】

2022/11/06「おもしろ同人誌バザール神保町」と2022/11/20「文学フリマ東京」にて、新刊「邦画の値打ち2022」を頒布予定です。各イベントの公式サイトは以下。

おもしろ同人誌バザール|同人誌|即売会|東京都

文学フリマ東京35(2022/11/20) | 文学フリマ

 

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