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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『麻希のいる世界』『牛首村』『グッバイ、ドン・グリーズ!』

最近観た邦画3作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『麻希のいる世界』
監督&脚本:塩田明彦
配給:シマフィルム/上映時間:89分/公開:2022年1月29日
出演:新谷ゆづみ、日高麻鈴、窪塚愛流、鎌田らい樹、八木優希、大橋律、松浦祐也、青山倫子、井浦新

つまはじき者だが生まれ持った音楽の才能を持っているという定番のキャラ設定を用いながら、肝心の本人がパターン通りの物語を拒否することで、独特のインパクトを持たせている。理性を超えた感情ゆえの無償の献身が、相手には何も影響を与えず、それどころか自らを傷つけるだけの結果になってしまう。そのような、青臭さが免罪符とならないために痛々しい若者の無力感が、幾ばくかの救いを求める観客にも刃となって突き刺さる。そこには、塩田明彦監督が得意とする狙いの明確なカメラワークが、効果的に作用している。
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『牛首村』
監督&脚本:清水崇
配給:東映/上映時間:115分/公開:2022年2月18日
出演:Koki,、萩原利久、高橋文哉、芋生悠、大谷凜香、莉子、松尾諭、堀内敬子、田中直樹、麿赤兒、竜のり子

清水崇監督による「恐怖の村」シリーズの第3段で、北陸地方の実在する廃墟を舞台にして、古の因習からくる霊現象に女子高校生が巻き込まれていく。昨今の心霊ホラーにしては珍しく、霊を何でもできる万能モンスターにするのではなく、あらゆる霊現象や登場人物の行動などに論理的な理由付けが成されているのが好印象。これにより、人間の側にも勝利の見込みが生まれ、Koki'という力強さのある配役も相まって、バトルものとしても手に汗握って楽しめる創りになっている。単に驚かせるだけではない恐怖演出も効果的。特に中盤での(廃墟ではないほうの)エレベーターのシーンは最高。よくロケ場所の許可が取れたなと思う。
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『グッバイ、ドン・グリーズ!』
監督&脚本:いしづかあつこ
配給:KADOKAWA/上映時間:95分/公開:2022年2月18日
出演:花江夏樹、梶裕貴、村瀬歩、花澤香菜、田村淳、指原莉乃

少年たちのひと夏の冒険という王道のプロットに、ドローンやSNSなどの最新のガジェットをトッピングして、今風の物語にアレンジしているアニメ映画。もっとも、単なる学校内での陽キャの悪ノリを真に受けるだけでは、冤罪を晴らすためという冒険に旅立つ動機に説得力が足りず、観客を引き込むには弱い。また、運命的かつ幻想的なラストを成り立たせるには、それまでの過程に妙なリアリティがあり、作品全体における抽象性の構築(変な日本語だけど)が足りないと感じる。
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