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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『由宇子の天秤』『映画 すみっコぐらし』『ボクたちはみんな大人になれなかった』『自宅警備員と家事妖精』

最近観た邦画4作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『由宇子の天秤』
監督&脚本:春本雄二郎
配給:ビターズ・エンド/上映時間:152分/公開:2021年9月17日
出演:瀧内公美、河合優実、梅田誠弘、松浦祐也、和田光沙、池田良、川瀬陽太、丘みつ子、光石研

女子高生いじめ自殺事件の関係者家族に取材を重ねるドキュメンタリー番組のディレクターが、自分の父親による許されない行為を知る。主人公を勝気で芯の強い女性にして、相反する実情となってしまった仕事と家庭の両方で常に信念を持って行動させることで、約2時間半の上映時間を張り詰めた空気のままスピード感を出しているのは見事。ただ、客観的事実に加えて主要人物の行動の理由もほとんど不明瞭なまま終わるので、観客に問いかけるタイプの映画としては致命的に判断材料が少ない。
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『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』
監督:大森貴弘/脚本:吉田玲子/原作:サンエックス
配給:アスミック・エース/上映時間:65分/公開:2021年11月5日
出演:井ノ原快彦、本上まなみ

前作が(主にネット上での悪ふざけのため)変な盛り上がり方をされてしまっていたが、本作では脚本に吉田玲子を迎え、児童向けアニメの体裁を堅実に守っていた。せっかく言葉を喋らないキャラクターなのだから、書き文字セリフやナレーションももっと少ないほうが想像力を掻き立てられるのではと当初は思ったが、メイン層にはちょうどいいのかもしれない。すみっコたちを吊り上げる謎の"アーム"の存在にのみ、世界観への禍々しさがあるが。
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『ボクたちはみんな大人になれなかった』
監督:森義仁/脚本:高田亮/原作:燃え殻
配給:ビターズ・エンド/上映時間:124分/公開:2021年11月5日
出演:森山未來、伊藤沙莉、東出昌大、SUMIRE、篠原篤、片山萌美、篠原悠伸、岡山天音、奥野瑛太、大島優子、萩原聖人

テレビ業界の片隅で働く男を主人公にして、2020年から1995年まで時制が数年ごとに遡り、その年々のエピソードが羅列していく。つまり起承転結が逆に並べられているのだが、それによって新しい表現が成されているわけではなく、ただ観客に余計な脳内処理を課しているのみで、狙いが空転している。年ごとに変化する通信機器や音楽媒体などのガジェットも、ありきたりな演出に留まり、面白みがない。時代に対して表面的にしか向き合っていないような。
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『自宅警備員と家事妖精』
監督:藤本匠/脚本:潮喜久知
配給:太秦/上映時間:78分/公開:2021年11月20日
出演:大沢真一郎、木竜麻生、田之下雅徳、中島トニー、林家たこ蔵、本城祐哉、巻島みのり、流山児祥

母親の死がきっかけで自宅である函館の洋館に住み着く家事妖精の姿が見えるようになった45歳無職の男が、取り壊されようとする洋館を守るために仕事を探し始める。凡庸な思い付きレベルの脚本を、練り込みの足りないまま映画にしてしまった代物で、さすがに擁護できないレベル。現代日本を舞台に中年男性の就職を描くなら、夢物語にするにしても最低限のリアリティは必須だろう。あと、楽器を演奏したら宿泊代がタダになる宿屋って経営が成り立つのか。あの子供の言動も意味不明。
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