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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『POP!』『明け方の若者たち』『静謐と夕暮』『ポプラン』

最近観た邦画4作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『POP!』
監督&脚本:小村昌士
配給:ムービー・アクト・プロジェクト/上映時間:86分/公開:2021年12月17日
出演:小野莉奈、三河悠冴、小林且弥、野村麻純、菊田倫行、木口健太、成瀬美希、中川晴樹

チャリティ番組で台本通りに世界平和を訴える19歳の女性が、日常の中で大人たちの欺瞞に直面していく中で鬱屈が溜まっていき、やがてそんな社会の現実を壊そうと試行し始める。ほとんど誰も来ない駐車場での管理人バイトや、神出鬼没な爆弾魔など、空想的で雑多な要素が乱立するが、あえてまとまりを廃したのが裏目に出ているようで、不条理を形作るところまでは到達できていないかと。
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『明け方の若者たち』
監督:松本花奈/脚本:小寺和久/原作:カツセマサヒコ
配給:パルコ/上映時間:116分/公開:2021年12月31日
出演:北村匠海、黒島結菜、井上祐貴、山中崇、楽駆、菅原健、佐津川愛美、高橋ひとみ、濱田マリ

近ごろ流行りの「何者にもなれなかった若者」系の話。就職の決まった大学4年を起点として、大企業に進むも希望と違う部署に配属される男の焦燥感が、不安定な繋がりのままの恋人との関係とリンクして語られる。失恋しただけで会社を一週間も休むようなメンタルを通して、人生のほんの一部分に特別な意味を与える所作は、フィクションの役割としては間違っていないのかもしれない。それにしても、(本作は、人生はこれからだという締めだからまだいいものの)諦念の過程をエンタメにして、それが多くの人に共感を与えている昨今のムーブメントって、どうなんだろう。
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『静謐と夕暮』
監督&脚本:梅村和史
配給:/上映時間:136分/公開:2022年1月8日
出演:山本真莉、延岡圭悟、入江崇史、石田武久、長谷川千紗、梶原一真、仲街よみ、野間清史、ゆもとちえみ、栗原翔、和田昂士、岡本大地、石田健太、福岡芳穂、赤松陽生、吉田鼓太良、南野佳嗣、鈴木一博、中山慎悟

セリフが少なく、曖昧とした抽象的なシーンがつらつらと並べられており、最良の言葉を用いれば非常に"純文学的"な作品。ほとんど説明がされない少し不思議な情景だけで、それなりの吸引力を保たせているのには感心する。だがそれでも、さすがに「解るやつだけついて来い」精神で撮られた映像オンリーでの2時間越えは、なかなかキツい。もっとも、学生の卒業制作なので、これくらいの傲慢さと過剰な自意識はあって然るべきだが。画面作りにおける美的センスは垣間見えるので、監督の今後には期待できる。
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『ポプラン』
監督&脚本:上田慎一郎
配給:エイベックス・ピクチャーズ/上映時間:96分/公開:2021年1月14日
出演:皆川暢二、アベラヒデノブ、徳永えり、しゅはまはるみ、井関友香、永井秀樹、竹井洋介、鍵和田花、朔太郎、西本健太朗、佐藤旭、清瀬やえこ、上田耀介、茨城ヲデル、藤野優光、高木龍之介、原日出子、渡辺裕之、川口貴弘、出口亜梨沙、藤田健彦、市原洋、山下一世、三月達也、水野ひとし、大沢真一郎

切り離されて飛んで行ってしまったイチモツを追いかける男が、その過程で別れた元妻や疎遠だった両親と再会する。あまりに凡庸で、何より善人ばかり登場するので全く面白みのない人情噺が連なるが、これこそ上田慎一郎監督が最もやりたいことなのだろう(そういえば過去作も家族愛の話ばかりだ)。そこにオリジナリティを加えるべくイチモツが飛んでいく奇抜な設定で装飾を試みるが、メインの人情噺とはあまりに無関係なうえに、その設定自体も細部が詰められておらず、コメディ部分がひとつも笑えない。イチモツが無いのを隠し通そうとする理由が不明だし、地下組織とか意味不明。
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