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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『スパゲティコード・ラブ』『彼女が好きなものは』『成れの果て』『フラ・フラダンス』

最近観た邦画4作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『スパゲティコード・ラブ』
監督:丸山健志/脚本:蛭田直美
配給:ハピネットファントム・スタジオ/上映時間:96分/公開:2021年11月26日
出演:倉悠貴、三浦透子、清水尋也、八木莉可子、古畑新之、青木柚、xiangyu、香川沙耶、上大迫祐希、三谷麟太郎、佐藤睦、ゆりやんレトリィバァ、土村芳

東京の片隅でもがく10名以上の登場人物による短いストーリーが並び、あえてまとまりを作らず乱雑なままの状態をひとつの作品として提示している。それぞれの主題は異なるが、共通するのは「自分は特別だという信念が揺らぎ、耐えられなくなりそうになる」というところか。まとまりの無さをアートに変換するには、味付け程度のミュージックビデオ風味を付け足すだけでは難しかった模様。なお、ゆりやんレトリィバァがひとりコントで培った喋りの技術が、「心の内を全て口に出す」という邦画の癖と、良くも悪くも相性抜群であった。
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『彼女が好きなものは』
監督&脚本:草野翔吾/原作:浅原ナオト
配給:バンダイナムコアーツ、アニモプロデュース/上映時間:121分/公開:2021年12月3日
出演:神尾楓珠、山田杏奈、前田旺志郎、三浦りょう太、池田朱那、渡辺大知、三浦透子、磯村勇斗、山口紗弥加、今井翼

ゲイを隠している男子高校生が、BL好きのクラスメイトの女子と本屋で偶然の出会いをし、やがて付き合うようになる。そんな少女漫画風の導入だが、劇中人物各々の個人的解釈からくるズレが生じ、やがて取り返しのつかない事態となる。そこからさらに定番のフォーマットを拝借したカタルシスを設けることで、(少なくとも劇中人物にとっての)救済としている。学園恋愛モノの王道パターンに同性愛の要素を入れ込む狙いは完璧に成功している、会心の一作。
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『成れの果て』
監督:宮岡太郎/脚本:マキタカズオミ
配給:S・D・P/上映時間:81分/公開:2021年12月3日
出演:萩原みのり、柊瑠美、木口健太、田口智也、梅舟惟永、花戸祐介、秋山ゆずき、後藤剛範

姉がかつて自分をレイプした男と婚約すると知って8年ぶりに地元に戻ってきた女性が、全てに復讐せんと小さな共同体の均衡を壊していく。そんなある種のヒロイズムを背負わされた主人公の造形だが、その重圧による苦悩も同時に表出されており、一筋縄ではいかない。観客の求める「レイプ被害者の復讐譚」を簡単には披露せず、むしろそれに快楽を覚える醜悪さをほじくり出してきているかのようで、物語論として批評的だ。最終的な結末を含め、どうしようもない人間の性が何重にも折り重なっていき、息苦しくも圧倒される。
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『フラ・フラダンス』
総監督:水島精二/監督:綿田慎也/脚本:吉田玲子
配給:アニプレックス/上映時間:108分/公開:2021年12月3日
出演:福原遥、美山加恋、富田望生、前田佳織里、陶山恵実里、早見沙織、山田裕貴、ディーン・フジオカ

福島県にある娯楽施設「スパリゾートハワイアンズ」の新人ダンサーたちを追ったアニメ映画。様々な性格の5人の新人が互いに切磋琢磨し、周囲の人々と触れ合いながら、地道に実力を伸ばしていく。その過程で福島県の観光地や名産も登場させつつ、今でも残る東日本大震災の影響と向き合わなければいけない現実も密接に絡んでくる。王道の成長譚の中に地域アピールの目的が見事に組み合わさっている、著しく幸福な作品。
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