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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『劇場版 ソードアート・オンライン』『愛のまなざしを』『聖地X』『宮田バスターズ(株)大長編』

最近観た邦画4作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』
監督:河野亜矢子/原作、ストーリー原案:川原礫
配給:アニプレックス/上映時間:97分/公開:2021年10月29日
出演:松岡禎丞、戸松遥、水瀬いのり、平田広明、安元洋貴、日高里菜、檜山修之、関智一

オンラインゲームの仮想空間を舞台にした人気ライトノベルシリーズを原作とする劇場版アニメ。ゲーム内にプレイヤーが閉じ込められる序盤の展開を、RPG初心者であるヒロインの行動から改めて語り直す。既存の物語に新たな視点を付加させる企みは、一定の結果は出ている。当シリーズにより決定的になった「強すぎる主人公の周りがハーレム状態になる」というラノベのお約束が、別視点によってどのように変化するのか、続編以降では問われるであろう。
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『愛のまなざしを』
監督:万田邦敏/脚本:万田珠実、万田邦敏
配給:イオンエンターテイメント、朝日新聞社、和エンタテインメント/上映時間:102分/公開:2021年11月12日
出演:仲村トオル、杉野希妃、斎藤工、中村ゆり、藤原大祐、万田祐介、松林うらら、ベンガル、森口瑤子、片桐はいり、藤野詩音

亡き妻の幻影に悩まされている精神科医の男が、患者として来院してきた女にほだされていき、真っ当な社会性を徐々に失っていく。大筋だけなら昼ドラのような古風なものであるが、主に役者陣の演技力と照明の妙によって、何がしか意味ありげな重厚な雰囲気はギリギリ保たれている。ただ、万田邦敏監督は『接吻』なども同じなのだが、ここぞというところで説明的になりがちなのが、非常にもったいない。
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『聖地X』
監督&脚本:入江悠/原作:前川知大
配給:ギャガ、朝日新聞社/上映時間:114分/公開:2021年11月19日
出演:岡田将生、川口春奈、渋川清彦、山田真歩、薬丸翔、パク・イヒョン、パク・ソユン、キム・テヒョン、真木よう子、緒形直人

韓国を舞台に、土地に根差したドッペルゲンガーらしき怪現象が、移住してきた日本人の周囲で巻き起こる。おそらく入江悠監督作の中では最も社会批評性が薄く、ただ観客を楽しませるだけのエンタメに振り切った作品。何かが起きている不穏な前半から、中盤でビジュアル的に唖然とする瞬間を挟み、後半は論理性を突き詰めたうえでの怪現象に立ち向かうアクション劇に転換する。この構成に笑いどころを点在させた作りが見事。ただし、論理性を突き詰めるならば、ラストの展開には矛盾が生じている(アレを産み出したのは、あの人でしょ?)。それは贅沢な注文かもしれないが。
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『宮田バスターズ(株)大長編』
監督&脚本:坂田敦哉
上映時間:72分/公開:2021年11月20日
出演:渡部直也、大須みづほ、佐田淳、ユミコテラダンス、山本愛生、栗原駿、水野祐樹、吉見茉莉奈、瀬良大智、宮崎美子

地球に飛来する宇宙生物の駆除を専門とする中小企業を舞台としたモンスターパニック映画。セットや小道具や宇宙生物をハンドメイドで作り上げる、出演者のひとりが若くして亡くなっているなど、作品外の部分で話題が多い。制作陣の熱意に敬意を表してフラットな意見を述べると、建物の損害を気にしない宮田バスターズの駆除方法が時代遅れなのは至極当然であり、新興勢力を悪玉とするには共感が難しい(ラストで落とし前をつけているが)。また、肝心の戦闘シーンがリアリティに乏しく、のめり込めない。蛇足ながら根本の問題として、これは民間業者ではなく行政が対応すべき事案ではないか。その点を持って今の日本社会に対する批評性と言えなくもないが。
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