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【新作邦画/アニメ】『劇場版 SPY×FAMILY CODE:White』感想レビュー—大人になり過ぎてしまった我々には、もはや『SPY×FAMILY』を純粋に楽しむことができない


監督:片桐崇/脚本:大河内一楼/原作:遠藤達哉
配給:東宝/上映時間:110分/公開:2023年12月22日
出演:江口拓也、種崎敦美、早見沙織、松田健一郎、銀河万丈、武内駿輔、中村倫也、賀来賢人

 

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時代が悪かったのかもしれない。はっきりと子供を対象としたアニメですら、物語の構造を丹念に分析され、社会的メッセージがあるはずだと決めつけられる、この時代には。今や日曜朝の児童向けアニメさえも、識者気取りの大人の視線を意識しなければならない。原恵一監督の『クレヨンしんちゃん』劇場版が産み出してしまった負の連鎖だろうか。

先に個人的な立場を説明すると、『SPY×FAMILY』についてはテレビアニメは未見で、漫画も最初の数巻を読んでいるだけであり、おおまかな設定を知っている程度。それでも今回の劇場版は、冒頭で主人公一家について説明が入り、門外漢を拒否するような作りにはなっていない。もうちょっと詳しく説明してもいいかなとは思ったが。誰が何をどこまで知っているかの事前情報がきちんとあったほうが、より楽しめる。

これ、東西冷戦期のヨーロッパを模倣した架空世界が舞台で、スパイと暗殺者という国家機密に関わる人物がメインであることから、社会風刺を織り込んでいると思い込みがちなのだが、実際はギャグがメインなんだよね。個々のシーケンス単位でのギャグ描写が並んでおり、物語はそれらのシーケンスを繋ぐためにある。そのためか、脚本はかなり荒唐無稽だし、ほうぼうに無理が生じている。

スパイのロイド(声:江口達哉)と、暗殺家業のヨル(声:早見沙織)は、身分を隠すために表向きは偽りの夫婦を演じている(もちろん名前も偽名)。なお、共に互いの正体は知らない。また、家族を偽装するために孤児院から自称6歳の女の子・アーニャ(声:種崎敦美)を引き取り、2人の子供として育てている。アーニャは他人の心が読める超能力者であり両親の秘密も知っているが、とはいえ子供なので、無邪気だし本能で行動する。

注意:このあとの自由課金部分(払わなくてもOK)で終盤の展開に触れていますので、未見の方はネタバレにご注意ください。

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