最近観た邦画３作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。
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『蜜蜂と遠雷』
監督＆脚本：石川慶／原作：恩田陸
配給：東宝／上映時間：118分／公開:2019年10月4日
出演：松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士、臼田あさ美、ブルゾンちえみ、光石研、平田満、斉藤由貴、鹿賀丈史
６１点
原作小説は音楽を言葉で表現するという難題に対して果敢に挑戦し、成功を収めていたが、その綴られた言葉を再び音楽に再変換することが、この映画の使命である。それはつまり、演奏シーン（聴衆の反応を含めて）の説得力に全てがかかっていることになり、確かにその点は圧巻ではあった。問題は演奏以外のシーンで、どうにも音の扱い方が練られていないようで、たとえばBGMの入れ方などに配慮が足りていなかったような気がした。ピアノのコンテストを受けているだけなので物語は起伏に欠けるのは承知の上だが、それにしたってドラマが淡白すぎたのでは。
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『BLACKFOX』
総監督：野村和也／監督：篠原啓輔／脚本：ハヤシナオキ／原作：PROJECT BLACKFOX
配給：東映ビデオ／上映時間：100分／公開:2019年10月5日
出演：七瀬彩夏、戸松遥、大地葉、土田大、津田英三、藤原啓治、豊崎愛生、鳥海浩輔、飛田展男、東地宏樹、小山力也
５４点
特に目新しくもない既存のものだけを寄せ集めた、クリシェの塊のようなオリジナルアニメ。そのため、内容については、特に言うことが何もない。最近多いのだが、プロトタイプとしか思えないレベルのアニメ作品を、市場調査的に映画館で入場料を取って客に見せるのは、あんまり良くない風潮ではないだろうか。需要と供給における対価のバランスが悪く、長期的に見て顧客のパイを減らすことにならないかと心配である。
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『空の青さを知る人よ』
監督： 長井龍雪／脚本：岡田麿里／原作：超平和バスターズ
配給：東宝／上映時間：108分／公開:2019年10月11日
出演：吉沢亮、吉岡里帆、若山詩音、松平健、落合福嗣、大地葉、種崎敦美
６２点
囚われていた過去ときちんと向き合ったうえで決別して未来へと歩みだすという、極めて王道の「青春を終わらせる」話。キャラクター同士の関係性が絶妙に整理されたうえで絡み合っていくので、物語に深みが発生しており、構成の妙が光る。吉岡里帆は声優の技術的には巧いわけではないのだが、そのぎこちなさがむしろ味となってキャラクターを補完していた。ただ、音楽をテーマにしながら大舞台の演奏シーンの手前で話を終わらせるのは、観客に対する裏切り行為ではないかとも思ったが。
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