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【邦画新作】『もしも徳川家康が総理大臣になったら』ネタバレあり感想レビュー…トップの戯言に従っていれば日本は繁栄するサンマーク出版らしい論理


監督:武内英樹/脚本:徳永友一/原作:眞邊明人
配給:東宝/上映時間:110分/公開:2024年7月27日
出演:浜辺美波、赤楚衛二、GACKT、髙嶋政宏、江口のりこ、池田鉄洋、小手伸也、長井短、観月ありさ、竹中直人、野村萬斎、音尾琢真、山本耕史、梶原善、足立英、小籔千豊、酒向芳

 

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『コーヒーが冷めないうちに』以来のサンマーク出版案件である。いや、ほかにもあったかもしれないけど。ビジネス指南や自己啓発の本でおなじみの出版社だが、映画の原作としてはどうなんだろうという疑問が浮かぶのは致し方ないところ。そこでひとまず映画を観る前に、本作の原作本『もしも徳川家康が総理大臣になったら』を購入して読んでみた。サンマーク出版に私費を投入したのは人生初である。

 

原作は「ビジネス小説」と銘打っており、紀伊国屋書店新宿店でもビジネス書の棚に置かれていた。そのため池井戸潤みたいなのではなく、「小説の形態で書かれたビジネス書」なのかと予想していたが、一応は小説の体を成していて少し意外。エンタメ小説の公募新人賞に応募すれば一次選考は通るだろう。むしろ「ビジネス」の要素が無いような。世の経営者はこれを読んでビジネスの何に役立てるのか。まず政治の話だし。

内容とは別に衝撃だったのが、本書は第1部と第2部に別れているのだが、第2部で急に文字のフォントサイズが小さくなるのだ。本当に意味がわからない。サンマーク出版では常識なのか? かなりのカルチャーショック。さらについでの余談だが、参考文献に山川出版社の参考書と用語集を載せるのはバカっぽいので、やめたほうがいいと思う。

肝心の物語については色々と引っかかったが、これらは今回の映画でもきちんと受け継がれてしまっていたので、このあとで順に指摘していくことにする、ただその前に、整理しておかなくてはいけない重大な点がある。物語の冒頭、コロナのクラスターにより総理大臣以下閣僚全員が死亡するという『シン・ゴジラ』状態が起こる。そこで政府が極秘裏に開発していたコンピューター技術によって、歴史上の人物そっくりで見た目や動きは生身の人間と変わらないホログラムAIを作り出し、彼らに内閣を任せるのが、この話の導入部である。

そう、徳川家康も坂本龍馬もAIなのである。タイムスリップしてきた本人とかではないのである。正しいタイトルは『もしもAIが総理大臣になったら』なのである。たしかにそのおかげで、言葉の問題だとか、史実での関係性によって相手を憎まないようプログラミングされているとか、委細な面倒事は解消されている。でもさあ、それはもう家康でも龍馬でもないじゃん。あくまで現代の資料やらイメージやらによって創造された、架空の何者かじゃん。

現代のイメージによるプログラミングの結果なので、坂本龍馬のキャラ造形が司馬遼太郎の影響そのままなのも、聖徳太子が同時に10人以上の話を聞き分けるのも、理屈は合っているんだけどさ。ただ作中では、ほぼほぼ「過去からやってきた本人」として扱われている。「おまえ、AIだろ」とツッコミを入れたくなる瞬間が何百回もあるが、その衝動はスルーしないと、話の内容に入っていけない。まあ、都合の悪いときだけ急に「だってAIだから」と逃げを打つのはずるいんだけど。

というわけで、この文章でもここから先は、閣僚となった偉人たちは生身の人間として基本的には捉え、AIに国政を任せている件は忘れることにする。そうしないと、あまりに収拾がつかなくなるので。ただどうしても触れざるを得ないときもあるのだが、その際はご了承を頂きたい。

では、映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』のあらすじ。総理大臣の徳川家康(演:野村萬斎)を始め、財務大臣の豊臣秀吉(演:竹中直人)や経済産業大臣の織田信長(演:GACKT)など、歴史上の偉人たちによって構成された内閣がお披露目される。原作では法務大臣だった藤原頼長はオミットされ、代わりに聖徳太子(演:長井短)と文部科学大臣の紫式部’(演:観月ありさ)が加わっている。より知名度の高い人選をしているあたりに、観客の知的レベルを低く見積もっているのが透けて見える。あと紫式部は”政治家”では無いし。そういうのが気にならない人向けか。

 

注意:このあとの有料部分において終盤の展開に触れていますので、未見の方はネタバレにご注意ください。

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