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【邦画】最近観た邦画レビュー--『シン・仮面ライダー』『わたしの幸せな結婚』『クモとサルの家族』

 

注意:直接的にラストには触れていませんが、未見の方はネタバレにご注意ください。

 

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『シン・仮面ライダー』
監督&脚本:庵野秀明/原作:石ノ森章太郎
配給:東映/上映時間:121分/公開:2023年3月17日
出演:池松壮亮、浜辺美波、柄本佑、西野七瀬、塚本晋也、手塚とおる、松尾スズキ、森山未來

一般的な映画と同じ尺度で語ること自体が間違っているのは重々承知である。元ネタと照らし合わせつつ細部におけるこだわりを読み取っては庵野秀明監督の脳内を推し量っていくのが、本作における絶対にして唯一の楽しみ方だ。それは庵野秀明の人間性に多大な興味を持つことのできる少数の人間にしか叶わないことでもある。もっとも、「私は用意周到なので」のセリフがSNS上で全く流行っていないあたり、コア層からもそろそろ手法が飽きられ始めているのかもしれない。作法に則って、細部から一点だけ。『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』と同様、本作にも「服が匂う」描写がある。この執拗さに、庵野秀明が抱え込んでいる何かが垣間見える。
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『わたしの幸せな結婚』
監督:塚原あゆ子/脚本:菅野友恵/原作:顎木あくみ
配給:東宝/上映時間:115分/公開:2023年3月17日
出演:目黒蓮、今田美桜、渡邊圭祐、大西流星、前田旺志郎、高石あかり、小越勇輝、佐藤新、山口紗弥加、平山祐介、高橋努、津田健次郎、尾上右近、土屋太鳳、火野正平、石橋蓮司

大風呂敷を広げた劇中設定の読み上げのあとの、大仰なCG空間と某役者の奇妙なダンスによるハッタリの効いた冒頭シーンには引き込まれた。そのテンションのままであれば『帝都大戦』と肩を並べる伝奇物語となるやもと期待値が上がったが、結局は政略結婚した男女が互いに惹かれていく古典的で小さな話が主軸となる。「ヒロインを執拗に虐げる継母とその娘」などキャラクターはプロトタイプであるし展開もベタをなぞるが、映像には一定のこだわりが見て取れる。顔のアップなどによる長尺の間を弛緩せずに保たせているのは役者の力であろう。原作小説では1巻のクライマックスに当たるシーンを中盤に配置し(ここで物語上はオチを迎えている)、そのあと駆け足で規模の大きい話をもう一つ展開するのはバランスが悪いが、続編に繋げるためには仕方なかったか。
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『クモとサルの家族』
監督&脚本:長澤佳也
配給:リアルプロダクツ/上映時間:82分/公開:2023年3月18日
出演:宇野祥平、徳永えり、田畑志真、リー・ファンハン、チャオ・イーイー、ニエ・ズーハン、江口直人、黒羽麻璃央、緒川たまき、仲村トオル、白石加代子、奥田瑛二

人里離れて暮らす忍者一家(夫婦と、みなしごを集めた疑似家族)によるアクション時代劇だが、なんと全編に渡ってアフレコ。おそらく子役の日本語が不得手だからだと思われるが、真顔で口が動いていないのに「イェーイ」みたいなテンション高めのセリフを被せられているのは異様すぎる。下の男の子と女の子は同一人物(声も子供)が声を当てているのか、「俺は~だぜ」と同じ口調をしているなど、とにかく混乱の極み。喋りに不安があるのなら、子供は無口にするなどアイデアはいくらでもあるのに、必要のないところにまで余計なセリフを被せて台無しにしているし。特に一番小さな男の子は年齢からすれば驚くような身体能力を見せてくれるのに、この仕打ちは酷すぎる。あと、よく似た顔の役者2名を出すのは良いのだが、衣装を同じにして本当に見分けをつかなくする(別に物語上では間違われたりするわけではない)のもまた混乱に拍車をかけている。ストーリーは行き当たりばったりの連続で、いちいち文句を言う気にもなれない。肝心のアクションシーンが少ないのも大きくマイナス。
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