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【邦画】『唄う六人の女』レビュー—重厚で幻想的な異空間を構築しておいて、最終的なメッセージが「自然を大切に」って


監督:石橋義正/脚本:石橋義正、大谷洋介
配給:ナカチカピクチャーズ、パルコ/上映時間:112分/公開:2023年10月27日
出演:竹野内豊、山田孝之、水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈、大西信満、植木祥平、下京慶子、鈴木聖奈、津田寛治、白川和子、竹中直人

 

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一体、何なんだこれは。いや、意味は解る。というか、あまりに意味が解りやす過ぎて困惑するのである。渋い演技に定評のある俳優を勢揃いさせて、最初から最後まで重厚でミステリアスな雰囲気で満たして、猟奇的な描写もふんだんに取り入れて、いかにも純文学的な作りなのだが、それでいて最終的なメッセージが「自然を大切に」だよ。そんな通俗の極みみたいなオチ、エンタメ作品でも捻りが無さすぎて却下だろうに。

フォトグラファーの萱島(演:竹野内豊)の元に、親が離婚して以来絶縁状態だった父(演:大西信満)が亡くなったとの連絡が入る。後処理のため、子供の時に母親ともに出ていって以来の、かつての自宅を訪れる萱島。辺鄙な山奥にあるポツンと一軒家で懐かしさに浸っていたところ、ふと隠された部屋を見つける。そこには壁一面に写真やら上から線が何本も引かれた地図やらが貼られており、どうやら父は取り憑かれたかのように山の中で何かを探し回っていたらしい。萱嶋はその部屋で、まるで導かれるかのように、飛び立つフクロウを映した一枚の写真を手に取る。

そこに、不動産会社の松根(演:竹中直人)と、東京の開発業者から雇われた宇和島(演:山田孝之)が訪ねてくる。父から相続した自宅と土地を開発業者に売る手はずとなっており、契約書を取り交わすためだ。手続きは簡単に済むも、もうバスが無いからと、宇和島の車で駅まで送ってもらうことになる萱島。だが宇和島が猛スピードで山道のトンネルを抜けると、着物姿の謎の女が道の真ん中に立っていた。慌ててハンドルを切ったところで落石に衝突。萱島が目を覚ますと、どこかの民家で寝かされており、両手は縛られていた。

注意:このあとの自由課金部分(払わなくてもOK)で終盤の展開に触れていますので、未見の方はネタバレにご注意ください。

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