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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『スパイの妻 劇場版』『みをつくし料理帖』

最近観た邦画2作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『スパイの妻 劇場版』
監督:黒沢清/脚本:濱口竜介、野原位、黒沢清
配給:ビターズ・エンド/上映時間:115分/公開:2020年10月16日
出演:蒼井優、高橋一生、坂東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史

黒沢清監督による虚構めいた舞台設計や独特のカメラワークによって、戦争に突入する直前の日本の風景を解体&再構築し、リアリティのある雰囲気を創作している。そんな状況下で、極めて個人的な正義や幸福の追求が、そのまま国家とダイレクトに結びついてしまっているどうしようもない恐怖や焦りが、淡々としつつも圧倒的な熱量で伝わってくる。この、ただ個人の幸福を願うがゆえに国家に楯突くことになってしまう状況は、別に本作の舞台である1940年に限ったことではないはずであり、我々も肝に銘じておくべきなのだろう。

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『みをつくし料理帖』
監督:角川春樹/脚本:江良至、松井香奈、角川春樹/原作:高田郁
配給:東映/上映時間:131分/公開:2020年10月16日
出演:松本穂香、奈緒、若村麻由美、浅野温子、窪塚洋介、小関裕太、藤井隆、野村宏伸、衛藤美彩、渡辺典子、村上淳、永島敏行、松山ケンイチ、反町隆史、薬師丸ひろ子、石坂浩二、中村獅童、榎木孝明、鹿賀丈史

江戸時代の女料理人を主人公とした、人情味あふれる時代劇。意外にも展開が速くエピソードを多く詰め込んでいるのだが、整理はされており、ゆったりとした空気感のために不要な目まぐるしさは無い。デフォルトが「戸惑いの顔」である松本穂香が醸し出す微かな心の揺れを愛でるための作品で、角川春樹繋がりの役者たちが(時代劇らしく)形式ばった演技で脇を固めているので、安心して観ていられる。肝心の料理はインサートが1秒くらいで、調理や食事のシーンをきちんと映そうとしていないので、そちらを目当てにすると空腹感を起こしてしまうが。

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