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【邦画】『ハッピーメール』ネタバレ感想レビュー--野呂佳代の身体的な魅力が満載のアイドル映画

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監督:井上春生/脚本:三澤枝莉佳、大渡佑紀、村川康敏
配給:パル企画/公開:2018年8月25日/上映時間:87分
出演:野呂佳代、竹財輝之助、小林涼子、佐野和真、つるの剛士

 

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56点
まごうことなく完全なる野呂佳代のアイドル映画である。野呂佳代といえば、元SDN48メンバーの中では(あくまでTVでの露出度を基準とすれば)出世頭であり、その丸くて個性的な顔立ちやふくよかで安定感のある体型を武器にバラエティ番組で活躍している。なるべく失礼にならないように紹介したつもりですが、大丈夫ですかね。

本作『ハッピーメール』は、そんな野呂佳代の身体的な魅力を存分に堪能できる作品だ。最初のほうで、野呂佳代が恋の予感に浮かれて上り坂を駆けあがるところを真横から遠景で撮るショットがある。その際のドタドタ感が、まさに野呂佳代という感じで素晴らしい。地響きがこちらまで伝わってくるかのようで、4DXと錯覚してしまいそうだ。そのあとすぐにフラれるのだが、今度は坂道の途中で立ち止まってうずくまる様子を全く同じ構図で見せている。この対比は、素直に巧い。

野呂佳代演じる主人公の役柄は、アニメ絵を得意とするカリスマネイリストで仕事は順調だが、美大の同期がみんなして結婚して家庭を羨ましがっているアラサー女性というもの。級友からは「同期の中で絵を仕事にしている人は他にいないよ」と励まされるが、電話口の向こうから聞こえる赤ちゃんの泣き声に複雑な気持ちになったりしている。こういった設定は、野呂佳代自身の現状と多少のリンクもしているように思える。

野呂佳代は、仕事が終わったあとの日課で、りんご飴を食べ歩きしながら自宅に帰る。体型と相まって、なかなかインパクトのある絵面である。アパートの自室には、木の棒が何本か瓶に刺さっているアロマ的なオシャレなヤツ(何て名前だっけ、アレ)が置いてあると思いきや、りんご飴の割り箸を溜めているだけであった(このミスリードは、地味ながら本当に感心した)。野呂佳代は、その割り箸で輪ゴム鉄砲を作って、なぜか部屋にたくさん浮いている風船を撃ってはストレスを発散している。このアラサー女子の切なさ、まさに野呂佳代。

自宅では3本線の緑ジャージの上にドテラを着ているというのもイメージぴったり。ベッドの上で横になる姿はトドのようで、放漫な胸は目立つがセクシーさは微塵もない。寂しさを紛らわすためにドテラを横に置いて彼氏に見立てて、ずっと袖の端っこを握っている。このだらしない干物女ぶりによって、野呂佳代の身体的な魅力を最大限に引き出しており、眼福である。

そんなわけで、野呂佳代のアイドル映画としては完璧(しいて言えば、エンディングは野呂佳代が歌うべきだった)なのだが、一応ストーリーも簡単に触れておきます。スマホのマッチングアプリでやり取りする、2組の男女の話。この2つの話、ほぼ絡みなく最後まで並行して進んでいく(最後のほうで、ちょっとだけ無意味にリンクする)。話の内容もどことなく似ていて、不思議な構成なのだが、脚本クレジットに3人も名前が連なっているのと何か関係があるような気がする。

面倒なんで、野呂佳代のほうの話だけ追います。野呂佳代は、マッチングアプリ「ハッピーメール」で、鉄道オタクの歯科医とやり取りを始める。野呂佳代はアニメオタクなのだが、部屋にはイケメンキャラのポスターが2枚ほどと、フィギュアが3体(エヴァのマギと、白井黒子と、自信ないがおそらく長門有希)並べてあるくらい。数も少ないが、それより統一感が無いのが気になる。ファッションでオタクをしているだけという意味かとも思ったが、もう一方の話に登場するガチの地下アイドルオタクの部屋にもポスターが1枚貼ってあるだけなので、創り手がオタクの生態をよく解っていないと思われる。もしくは、小道具にかける制作費が無かったか。

で、これ、話が全然進まないのだ。野呂佳代は一度、歯科医とは別の男とアプリを通じて会うが、金を貸してしまったりと酷い目にあう。大きなエピソードはこれだけで、尺も短い。あとは延々と味気ない日常が続く中で、ひたすら歯科医と文字のやり取りを続けているだけ。アニメの『キンプリ』を歯科医に進めたりとか(ちゃんと『キンプリ』の映像使用許可を取っているのだが、しかし意中の男にお勧めするアニメがそれでよかったのか?)。

野呂佳代は、歯科医から一度は出会いの約束をすっぽかされて(事情があったのだが、連絡ひとつよこさない歯科医が悪いと思う)泣き伏せるものの、再び出会うところでエンディングとなる。その時の服装が、異様にテカテカとしたカラフルな出で立ちで、脚に至っては絵具をぶちまけたような鮮やかなタイツを履くことでたくましい太ももが強調されていて、これぞ野呂佳代の本領発揮という感じであった。

ところで、「ハッピーメール」というマッチングアプリは実在している(前新潟県知事が援助交際に使ったヤツ)のだが、この映画の内容では宣伝効果になっていないよなあ。あと、二級建築士なんて必死で取得したところで大して就職の役には立たないと思うよ。

 

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