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【漫画】先月読んだ漫画レビュー 少年誌編--『僕のヒーローアカデミア』『魔法少女オブ・ジ・エンド』『山田くんと7人の魔女』『勇者が死んだ!』

『僕のヒーローアカデミア』既刊6巻
作・堀越耕平/「週刊少年ジャンプ」連載

僕のヒーローアカデミア 1 (ジャンプコミックス)

僕のヒーローアカデミア 1 (ジャンプコミックス)

 
 

日本で一番売れている雑誌に連載している以上、数段レベルの違う作品であることは当たり前か。ひとりひとりに「個性」と呼ばれる特殊能力が備わり、その中で卓越した一部の者がヒーローとして活躍できて世間から賞賛される世界。そんな中で落ちこぼれの少年がヒーローを目指して養成学校で奮闘するという、王道のファンタジーアクション。「少年ジャンプ」の底力が発揮されるのはディテールで、特に次から次へと登場する大量のキャラクターはいずれも独特でかつ造型に隙がない。なんだよ蛙っぽいことはなんでもできる女の子(しかも、ちゃんとかわいい)って。そんな斬新な発想がまだ残ってたのかよ。現代の少年漫画っぽいなあと思ったのは、親の存在が大きく出ているところ。主要キャラのうち2人は、偉大なる父親に翻弄されており、ストーリー上の重要ポイントになっている。少年少女にとっては、親の存在ってリアルに切実な問題なんだろうなあ。まだ目立った動きはしていないが、主人公の母親も、これから大きく物語に関わってくるのだろう。

 

魔法少女オブ・ジ・エンド』既刊10巻
作・佐藤健太郎/「週刊少年チャンピオン」連載

極めて倫理的に宜しくない作品(褒めてます)。人が無差別に次々と惨殺されていることよりも、色々あって20年前の過去に飛ばされたいたいけな8歳の女の子が、そのまま成長して、イタい感じの巨乳の28歳女になって再び現れたところに、背筋が凍るほどの反倫理性を感じた。主に作劇上で疑問点は多いものの(敵の正体が読者に知らされているのに「この中に敵がいる!」という推理展開が起こるところとか)、とりあえず今後が気にはなっている作品。みうみうを超える反倫理性はやってくるのか。

 

『山田くんと7人の魔女』既刊20巻
作・吉河美希/「週刊少年マガジン」連載

山田くんと7人の魔女(1) (講談社コミックス)

山田くんと7人の魔女(1) (講談社コミックス)

 

少年誌連載中の漫画の中ではトップクラスで「絵の力」を信じている作品ではないか。単行本1冊の中に数カットある大ゴマ、特に涙を流している顔のアップに、有無を言わせぬ迫力がある。涙の粒ひとつひとつにトーンで膨らみをもたせたりしてさ。「魔女とキスしたら能力にかかる」という設定によってキスが日常的な行為になってしまい、本来ならここぞという瞬間に投入すべきキスシーンが使用できなくなっている。その代わりに本作が用いるのが、涙なのだ。実写よりも漫画・アニメのほうが迫力が出せる描写っていくつかあって、そのうちのひとつが涙だという持論があるのだが、その根拠の一つがこの作品である。まあただ、同じようなネタで20巻も続くと話が堂々巡りになっている(定期的に記憶が消えるし)という感は否めない。

 

『勇者が死んだ!』既刊3巻
作・スバルイチ/「裏サンデー」連載

勇者が死んだ! 1 (裏少年サンデーコミックス)

勇者が死んだ! 1 (裏少年サンデーコミックス)

 

20年以上も前から星の数ほど現れては消えていくロールプレイングゲーム・パロディの最新作。あらゆるパターンはとっくに出しつくされているため、何やっていてもデジャヴしか感じないが、もはや古典芸能みたいなものとして接すればいいのか。ニーソふとももフェチの偽勇者とともにお色気カットに興奮するのが正しい読書の仕方だろうが、なぜ今これなのかはさっぱりわからない。