監督:三池崇史/脚本:江良至/原作:荒木飛呂彦
配給:東宝=ワーナーブラザースジャパン/公開:2017年8月4日/上映時間:118分
出演:山崎賢人、神木隆之介、小松菜奈、岡田将生、新田真剣佑、伊勢谷友介
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59点
撮影所のセットだけではなく、屋外のシーンではロケもふんだんに行われている。近世ヨーロッパの古城や街並を参考にしたと思われる遠景をCGで合成しているのだろう(※ 追記:スペインロケだったそうです)。現実の日本とはちょっとズレているパラレルな舞台を演出している。三池崇史監督は、こういう「ちょっと人工的な空間」を創り出すのが非常に巧い。
三池監督が時代劇で本領発揮できるのも、この空間の創り方に理由があるのだと思う。原作は長期連載によってサーガのように膨大なストーリーを持ち、コアなファンを虜にしているアクション・ファンタジー漫画(ボクは未読だが)。こんな大層なものを実写化するうえで説得力を持たせるには人工的な空間演出は必須であり、それを見事に成し遂げていた。
加えて、改めて思い返すと、キャラクターに対してはそんなに過剰な演出を行っているわけではない。主人公の東方仗助(山崎賢人)は「髪型をバカにされるとキレる」という設定があるため、たしかに異質な髪形をしているが、見た目で特筆して違和感あるのはそれくらいだ。あとの人たちはコスプレ一歩手前にとどめている。
適度に過剰に人工的な空間と、適度に抑え気味のキャラクター。この2つのバランスによって、ぶっ飛んだ原作漫画を実写化するために必要な骨組みが、しっかり整っている。このおかげで、半透明の無機質な何か(スタンド)がバトルしていても、すんなり飲み込めるようになっている。
ただまあ、三池監督の悪い癖で、要求されたこと以上のことはやらないのもいつも通り。今回の場合は、各エピソードのバランス調整を行っていない。液体を操って殺人を繰り返す片桐安十郎(山田孝之)と東方らのバトルが前半のメイン。おそらく原作通りだが、双方ともそれなりに知恵を使っている。ここまでは良い。
問題は後半の虹村形兆(岡田将生)・億泰(新田真剣佑)とのバトルというか、そのあとの展開で、とにかくダラダラと長い。そこコンパクトにまとめたら、短いエピソードがもう一つ入れられただろうに。小松菜奈など、次回作への伏線のためだけの存在が多すぎるので、少しは処理してくれないか。1本の映画として体裁が整っていない。
物語における一般人代表(つまり観客視点の代替)である神木隆之介が、次回作へのネタフリのためだけに半端な状態で終わるのも、すっきりしない。あと、これはボクが頭が悪いだけなのかもしれないが、「一度出した命令は取り消せない」理論による反撃のところ、まるで意味が解らなかった。
と、いろいろ言ったけれど、漫画の実写化映画としては世界観の構築は巧くいっているので、一見する価値はあるし、今後の似たような企画への重要なお手本にはなる作品にはなっているのではと思う。
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