監督:金澤洪充/原作:氏家ト全
配給:クロックワークス/アニメ制作:GoHands/公開:2017年7月21日/上映時間:60分
出演:浅沼晋太郎、日笠陽子、佐藤聡美、矢作紗友里、斎藤千和、新井里美
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47点
久しぶりに、やらかしたアニメ映画を観てしまった。単刀直入に言うと、TVアニメと全く同じことをやっているだけなのだ。最近のTVアニメの劇場版は、とりあえずスクリーンにかかるということはどういうことかは考えているからねえ。大きなTV画面で同じアニメが好きな人たちと一緒に観ている、と自分を納得すればいいんだけれど。いやでもここバルト9だし。
原作は『週刊少年マガジン』連載中の4コマ漫画なので、ストーリーはあってないようなもの。この劇場版、TVアニメの時からそうなんだけど、原作通りに4コマ漫画のエピソードをひとつづつやっているのだ。つまり短い起承転結が繰り返されるわけだが、あるエピソードの結→次のエピソードの起というところで、話も何もかも、分断される。学園の理事長の前で女子生徒がものすごい下ネタを言ったあと、ふつうに会話が続くとか、おかしいでしょ。
しかもTVアニメを知らない人は完全に無視。キャラクター紹介すらしない。4コマ漫画のオチに映画中では初めて登場するキャラを出して落とそうとしている。ここまで頑なに外部の視線を排除しているのも、なんかすごい。清々しささえ感じる。
かなり後半で「脚本 氏家ト全」(原作者の名前。トはカタカナで「うじいえとぜん」と読む)というクレジットが出て、ほんの15分ほどだけだろうか、一応長めのストーリーらしきものが出てくる。ヒロインがこっそり立ち聞きした内容から、主人公の男子生徒が他校に転校するのではと勘違いする、という話。あ、勘違いってのはオチの部分だった。まあ、全員が「これ、オチは勘違いだな」って気づくけど。
『生徒会役員共』のTVアニメ版が好調だったのは、ひとえに畑ランコ役の新井里美(声優界の生瀬勝久)の暴走のおかげだろう。原作が4コマ漫画ゆえ大きな個性を持っていなかったキャラクターに、新井里美というクセのある声優がアニメのキャラとしての命を吹き込んだわけだ。映画として1本のストーリーが作れないのならば、そういったキャラクター性を極端に強調するという手段もあったはずだ。
で、実のところ、この映画が「TVアニメと全く同じ」という原因から発生する最大の問題は、「画がスクリーンに耐えられていない」ってことなんである。アニメーションがTVサイズを想定した精度なので、スクリーンだと線の動きがガタガタ。何年か前のアニメ映画では、よくあったけどさ。ほんと久しぶりに観たよ、こういうの。
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