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【邦画】『銀魂』--ギャグと人情話がはっきり分かれた、意外な良作

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監督&脚本:福田雄一/原作:空知英秋
配給:ワーナー・ブラザース/公開:2017年7月14日/上映時間:131分
出演:小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、新井浩文、堂本剛

 

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62点
「意外と」で始めるのは、この映画を評するうえでもっとも陳腐ではある。「意外と」をつけるということは、観る前に作品を舐めていたということでもあり、制作者に失礼でもあるし。それでもあえて「意外と」をつけることにする。実写版映画『銀魂』、意外とちゃんとしている。

恥ずかしながら、福田雄一監督作品を観たのは、映画・ドラマを含めて、これが初めてであった。大いなる悪評のために無意識に避けていたのは否定できない。なので他作品との相対的評価ができず、これが福田監督による功績なのか他の要因かわからないのだが、構成がきちんと整っているのだ。

原作は『週刊少年ジャンプ』の長期連載漫画。江戸時代末期に宇宙人が地球を侵略しようとし、戦争するも幕府は開国を受け入れ、宇宙人による傀儡政権となった江戸が舞台。という設定はともかく、ギャグが連発される中でちょいとした人情話が進むという話。特にアニメ版の場合は、時事ネタ、楽屋ネタもガンガンやる。

こういう原作漫画やアニメのエッセンスが強いのだろう。この実写版、ギャグと人情話がはっきり分かれていて、お互いを邪魔していない。ギャグは個々単発に行われ、伏線回収みたいな込み入ったことはハナからしない。人情話は主に2つ。主人公・坂田銀時(小栗旬)と、桂小太郎(高良健吾)、高杉晋助(堂本剛)の子供時代の絆が今につながるというものが一つ。もう一つは、刀鍛冶の兄妹の話。

主人公役の小栗旬は別にして、この2つの人情話に関わる人たちには、そんなにギャグをやらせないのである。高良健吾は小栗と旧友ということで軽口を叩きあう程度だし、堂本剛は常に虚空を見つめているだけだ。まあ、堂本剛にギャグをやらせたらとんでもなく寒くなることは、『ツヨちゃん堂本舗』を見ていた人なら誰でも知っている。

特に楽屋ネタの場合、やるたびにキャラクターが世界観の外に出てしまい、本筋の話に支障をきたすことがよくある。堂本剛は一度もギャグをやらないことで人情話の本筋を守っているため、最後の小栗旬との対決シーンにさらに深みが出ている。あとこの映画、一応は個々の役者にできる範囲内でちゃんと体を動かさせていたのは高ポイント。橋本環奈であっても。

刀鍛冶の兄妹の話は、本来はサブストーリーなのだが、実際にはほぼメインであった。村田鉄矢(安田顕)はどでかい声でしゃべるというキャラ設定で、多少はギャグなのだが、最後の泣かせのシーンでこのキャラ設定が活きてくるというオツな展開。そして妹役に、本作のキャストの中で最も演技が達者な人を配役することで、人情話を盛り上げている。

ダメだったところは、ギャグそのもののクオリティくらいだ。それが一番重要だという反論はごもっともだが、その一点さえ改善できればいいのだ。パロディってさ、他作品の話を出せばいいってワケじゃないんだけどな。TVのコントならいいけど、映画なら批評性が欲しい(コントが悪いってわけじゃないよ)。版権に厳しいイメージのあるところに触れて「これ、アウトじゃない?」とか言うの、ベタすぎるし。

この実写版、スベろうがどうだろうが原作漫画とアニメの『銀魂』がネタにしてくれて結果オーライになるというのが、大きな保険になっている。その守られた中でありきたりのギャグを繰り返しては仲間内でワーワー盛り上がっている。まあ、何やっても「だって『銀魂』だし」で済まされちゃうのだから、作り手からしたら手応えないだろうなあとも思うが。

そんなワケで、同じ『ジャンプ』連載中のギャグ漫画ではあるが、『斎木楠男のΨ難』の実写化のほうが難しい。基本ギャグのみで構成されていて「良い話」は少なく、しかもギャグは冒頭にフリがあって最後に伏線を回収してまとめるなど手の込んだものが多い。ギャグの形態だけなら、こちらのほうが映画向きだ。福田雄一監督の手腕は、この作品で如実に表れると思われる。

 

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過去の邦画レビュー

 

・『週刊少年ジャンプ』原作

yagan.hatenablog.com

 

・小栗旬出演作

yagan.hatenablog.com

 

・橋本環奈出演作

yagan.hatenablog.com

 

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