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【邦画】『少女』--「実はこの2人は…」オチの乱発が凄まじい

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監督:三島有紀子/脚本:松井香奈、三島有紀子/原作:湊かなえ
配給:東映/公開:2016年10月8日/上映時間:119分
出演:本田翼、山本美月、佐藤玲、稲垣吾郎、児嶋一哉

 

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53点
『告白』『白ゆき姫殺人事件』などで知られる湊かなえの小説を、『しあわせのパン』『縫い立つ人』などで知られる三島有紀子が映画化したのが本作『少女』である。って、食い合わせ悪すぎではないか。この2人を混ぜ合わせても水と油のように分離するだけのような気がするが。湊かなえが繰り出す人間の醜悪さを、三島有紀子が理解することなどできるのか。

というわけで、おそるおそる観に行ったわけである。冒頭、教会の祭壇で数人の女子高生が足並み揃えて動き回りながら何かそれっぽいことを言ってる演劇的なシーン。そしてひとりの少女が制服のまま水中に沈んでいくイメージカット。そこに『少女』というタイトルクレジット。女子高を舞台にしたゴシック風味の映画の幕開けである。なんか最近こういうの多いな。湊かなえ&辻村深月のせいなんだろうけど。

で、急に結論に入っちゃうけど、これストーリーに相当な無理がある。特に、「実はこの人とこの人は、こういう繋がりがありました」という後半のラッシュが凄まじい。この人とこの人は親子で、この人が目撃したのは実はあの人で、あの人とあの人はやっぱり親子で・・・ってのが少なくとも6個はあった。10人に満たない登場人物が、あっちこっちで繋がっている。映画の舞台となっている世界は、どんだけ狭い空間なのか。こういう「実はこの2人は…」的なオチは、デカいのひとつだけにしておけば衝撃も大きく効果的なんだけど、乱発されるとねえ。

ともかく、後半の展開がありえなさすぎて、心に闇を負った2人の少女によるちょっと百合が入った危うい友情関係みたいなテーマを考察するところまでたどり着けないのだ。あと、実はこっちのほうが大問題かもしれないが、「人が死ぬところを見たい」とか普段から言っているほど闇の深い本田翼が、病気でもうすぐ死ぬかもしれない小学生に同情心を抱いて頼みを聞くところ、キャラがブレブレでついていけなかった。

三島有紀子が湊かなえの小説を理解できなかったがゆえのほころびなのかと思って原作も読んでみたのだが、実は原作のほうがさらに「実はこの2人は…」オチが多かった。これ湊かなえの2作目で、まだ小説のテクニックがちゃんと身についていない時期の作品なんじゃないかな。まあでも、2人の少女の一人称が交互に入れ替わる構成による独特の雰囲気ならば、「実はこの2人は…」オチの乱発もフィクションとして許容できるか。いや、できないか。話のテーマとリンクしているわけではないし。

少女 (双葉文庫)

少女 (双葉文庫)

 

 

で、最後の最後にダメ押しで「実はこの2人は…」オチがある。端役と思われていた人物がクローズアップされることによりハッピーエンドをひっくり返す演出だが、それまで散々同じパターンを乱発していたせいで、「ああ、またか」で終わってしまう。それに、あの人がああなることで主人公2人がこれからどうなってしまう運命にあるのかは、もうちょっと説明してもいいのでは。ここに関しては、原作を読んで初めて意味がわかった。

あとこれは余談だが、アンジャッシュ児嶋一哉について。『トウキョウソナタ』に続く教師役。生徒の書いた小説を盗作しといて悪びれないあたり、小物の悪党っぷりはなかなか堂に入っている。ただ、映画的にかなり重要で、ある種の幻想性を出さなくてはいけないシーンがあるのだが、どうしてもコントにしか見えないのは困ったものである。TVでしょっちゅう見るような一般認知度の高い人をキャスティングするときは、こういうところに気を使って欲しい。アンジャッシュ児島が、あの顔であんな動きしてたら、誰だって笑っちゃうよ。

 

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