ヤガンEX

映画とか漫画とか似顔絵とか

【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『新解釈・三國志』『サイレント・トーキョー』『ミセス・ノイズィ』

最近観た邦画3作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

スポンサードリンク
 

 

『新解釈・三國志』
監督&脚本:福田雄一
配給:東宝/上映時間:113分/公開:2020年12月11日
出演:大泉洋、賀来賢人、橋本環奈、山本美月、岡田健史、橋本さとし、高橋努、岩田剛典、渡辺直美、磯村勇斗、矢本悠馬、阿部進之介、半海一晃、ムロツヨシ、山田孝之、城田優、佐藤二朗、西田敏行、小栗旬

西田敏行扮する学者をわざわざ出して、三国志のエピソードを元にしたコントをやっては、「歴史には、いろんな説がありますからね~」といちいち断りを入れる。かといって、その"新解釈"に根拠を示すわけではない。歴史学の根本を間違えている失礼さも相当だが、心の底ではフィクションの力を信じていない(劇映画なのだから、どんな設定にしたって構わないのに)福田雄一の心臓の小ささに唖然とする。大泉洋に「時代考証的には…」と言わせるなど楽屋オチを多用したり、物語の流れで重要な転換部分がドラクエ風のドット絵やイラストでぞんざいに済ますなど、あらゆる点で映画なるジャンルと真摯に向き合おうとせず、逃げ道ばかり模索している福田雄一の卑怯な小心者ぶりが露呈している。
-----


『サイレント・トーキョー』
監督:波多野貴文/脚本:山浦雅大/原作:秦建日子
配給:東映/上映時間:99分/公開:2020年12月4日
出演:佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊、中村倫也、広瀬アリス、井之脇海、勝地涼、毎熊克哉、加弥乃、白石聖、庄野崎謙、金井勇太、大場泰正、野間口徹、財前直見、鶴見辰吾

冒頭いきなり「電通」って表示される映画、初めて観たかも。前半は、巻き込まれた一般人が爆弾犯の指示通りに行動させられるのだが、肝心の「犯人から指示を受けている様子」が飛ばされているので、状況への理解に戸惑う。しかも動画で「私は犯人です」と言わされている一般人の様子があまりに落ち着き払っているなど、あちこちのシーンが不自然極まりない。渋谷ハチ公前での爆弾テロのシーンが中盤の肝だが、警察以外の被害者のほとんどを「浮かれた若者」に限定するという"逃げ"の所業をやってしまっては、そのあといくら政治的なメッセージを訴えたところで響くはずもない。「これは戦争だ」と言いたいのなら、原作に倣って市井の様々な一般人の様子を多く並べるのが絶対に必要だったはず。
-----


『ミセス・ノイズィ』
監督:天野千尋/脚本:天野千尋、松枝佳紀
配給:ヒコーキ・フィルムズインターナショナル/上映時間:106分/公開:2020年12月4日
出演:篠原ゆき子、大高洋子、長尾卓磨、新津ちせ、宮崎太一、米本来輝、洞口依子、和田雅成、田中要次、風祭ゆき

朝っぱらから布団を叩くなど、型通りの「ヤバい隣人」モノのように始まるが、かなり大胆な手法により"主観"が途中で反転することで、物語は多面性を帯びてくる。そんな複雑な構造を用いながら、ある人物の発言が作品テーマそのものだったりなど、内容を解りやすく咀嚼して提供することで、万人にとって他人事ではないと思わせるエンターテイメントに仕上げており、その手管には純粋に感心する。強引に収束させてすっきりとさせたラストには都合の良さも感じるが、それもまたエンタメとして心地よく終わらせたかったためであろう。
-----

 

スポンサードリンク