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【邦画】『DESTINY 鎌倉ものがたり』--山崎貴監督作品には、時間の感覚が無い

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監督&脚本:山崎貴/原作:西岸良平
配給:東宝/公開:2017年12月9日/上映時間:129分
出演:堺雅人、高畑充希、堤真一、安藤サクラ、田中泯、中村珠緒

 

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57点
山崎貴監督の作家性とは何か。それは「時間の感覚が無い」ということではないか。映画というジャンルは、時間を自在に扱えるジャンルとされているが、山崎監督は一切その特性を生かそうとしない。頑ななまでに。

鎌倉ものがたり読本増補改訂版 (アクションコミックス)

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「時間の感覚が無い」という具体例は大きく2種類ある。ひとつは、劇中での時間の進み方が判然としない。本作『DESTINY 鎌倉ものがたり』の場合も、新婚の妻が夫の家である鎌倉に引っ越してきた日がスタートなのだが、そのあとのエピソードがそこからどれくらい経った時点での出来事なのか、よく解らない。けっこう色々な事件が起きているので、話の終わりの時点で1年くらい経っていそうなのだが、判断不可能だ。

この件に関しては、本作の場合は、まだ影響が少ない(ゼロではないが)。『寄生獣』なんか、宇宙生物が地球に侵入してからどれくらいの月日が経っているか重要な要素なはずなのに、いつの間にか主人公の学年が上がっていたりしてたし。劇中に季節を表すものがほとんど無いから、こういうことになっている。

「時間の感覚が無い」という具体例のもう一つは、本作においても重要なことなのだが、いつの話なんだか時代が解らないんである。お手伝いのキンさん(中村玉緒)について主人公夫婦が「85歳だと言っているけど、日露戦争で旦那さんを亡くしたらしいんだ」「え、じゃあ、軽く100歳を超えてるじゃないですか」みたいな会話(だいぶ端折りました)をしているが、そもそも西暦何年の設定なのか。

鎌倉は妖怪が住み着く不思議な町だということを表すために、テーマパークみたいな不自然に人工的な空間を演出している。これがやり過ぎで、とても現代日本とは思えないのだ。スマホはおろか携帯電話も出てこないし、いくら鎌倉とはいえ建物も全て古いデザインだし、少なくとも21世紀以降だと確信できるアイテムは無かったのでは。

かといって、一昔前の日本というワケでもないのだ。「鎌倉の道路は観光客で渋滞してますから」みたいな現代っぽいセリフもあるし。『三丁目の夕日』シリーズも、『STAND BY ME ドラえもん』もそうなのだが、現代人が思い描く理想郷としての古き良き日本みたいなんである。ゴミとか一切落ちていない感じ。

山崎監督は、どんな話でもこういうテーマパーク的な空間しか創造できないのだろうか。それはそれで強烈な個性であり、うまく活用できれば面白いことになるかもしれない。個人的には、そんな新横浜ラーメン博物館みたいな空間をわざわざ映画館で観たいわけではないのだが。だったらラ博に行ったほうがいい。空間内を自分で歩けるし、ラーメン食べれるし。

本作に関しては、役者陣もテーマパークのキャストみたいに不自然に人工的な演技をさせられていたので、そういう意味では違和感が少なかった。堺雅人は元々風変わりなキャラクター演技しかできない人だし、高畑充希も堤真一も安藤サクラも、作り物に徹していた。ちゃんと演技できる人のほうが、血の通った人間に見えてしまい、浮いていたのは何とも残念だが。國村準とか。

あと、鬼より神のほうが圧倒的に強いのは説明不要でもわかるんだけど、だったら死神が弱すぎじゃないか。死神だって神なはずなのに。

 

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