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【邦画】『黒い乙女A』ネタバレ感想レビュー--前作の解決どころか、新たな謎が次から次へとばら撒かれてそのままエンドロールへ

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監督&脚本:佐藤佐吉
配給:AMGエンタテインメント/上映時間:78分/公開:2019年8月16日
出演:浅川梨奈、和田聰宏、三津谷葉子、村松利史、しゅはまはるみ、安藤なつ、笹野鈴々音、北香那

 

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※ 前作のレビュー

yagan.hatenablog.com

 

52点 ※ 前作とあわせて 
話をグチャグチャにしたまま途中で全て放り投げて「次へ続く」で終わらせてしまった『黒い乙女Q』の待望の続編である。前作『Q』を一応簡単に説明しておくと、孤児で施設にいたがある夫婦の家に引き取られた高校生の芽衣(浅川奈菜)は、同じく孤児だったラナ(北香那)と4人で暮らすが、夫婦も偽物だしいろんな出来事も全てラナの陰謀だった。で、色々あって「あなたもダメだった」と言われて蔵に閉じこめられる芽衣。そこで謎の化け物に腕を噛まれて、ってところで終わり。本作『黒い乙女A』では、ついにこの謎だらけの話に結論が着くのかと、期待に胸を膨らませて観に行ったわけである。

冒頭は芽衣の幼児期の回想で、灰皿で殴って父親を殺したりしているのだが、それよりも重要なこととして芽衣は何をしても死なない体質だと示される。首が折れてもゴキゴキという異常な効果音とともに元に戻るのだ。そして時間軸では『Q』の冒頭、施設に偽両親が訪ねる日に進む。ラナの指導の下で偽夫婦が台本の読み合わせをしているシーンから本編はスタートだ。

で、ここからずっと『Q』のストーリーをなぞっていき、そこに「実は裏ではこんな感じでした」というラナと偽夫婦の打ち合わせシーンが挟まるのである。えっと、ラナの陰謀の件は『Q』で既に明らかになっていることなのね。だから、裏でこういうことが起こっているのは、『Q』を観ている観客なら、すでに知っているわけね。それを延々と改めて説明されても困るし退屈で仕方ないんだけどね。かといって『Q』を観ていない人に向けてだとしても、ダイジェストになっているわけでもないから、何も理解できないだろうし。

『A』で判明する新たな情報としては、前述の芽衣が死なないってことと、また別の回想によってラナは「お多福様」(説明が面倒なんで、呪いの何かって認識でいいです)から自分を不幸にする人を自在に操れる力を授かったってことくらい。偽夫婦は、ラナに操られて言いなりになっているのだ。でも複雑なことはできないらしく、いつも台本を片手に演技指導をされているのだが。

で、上映時間も体感で7割くらい進んで、やっと『Q』のラストである「芽衣が蔵の中で謎の化け物に噛まれる場面」まで到達する。ここまで長かった。芽衣は噛まれた瞬間に謎の化け物の記憶を読み取り、実は自分と同じようにラナの陰謀の結果によって蔵に閉じ込められた女の子・ケイコだと解る。いきなり芽衣の新たな特殊能力(サイコメトリー)が出てきて面食らうわけだが。で、さらなる謎の力で蔵の鍵を開けた芽衣は、さらにさらに謎の力を使って偽夫婦を死に追いやる。ここにきて、新しい謎の力の大盤振る舞いである。

そしてついに、ラナと芽衣の直接対決となる。一方で、巨大な隕石が落ちてこようとしているが、とりあえずそっちは置いておく。「お多福様」の力を使って芽衣の全身の骨を折りまくるラナ。芽衣は不死身なので骨はすぐに元に戻るのだが、しかし「お多福様」ってそんな物理攻撃もできるんだ。芽衣はラナに触れて記憶を読み取り、ラナが「お多福様」に操られていると見破る。そして「じゃんけんで私に勝ったら協力するけど、負けたら殺す」みたいなことを言う(正確なセリフが思い出せないです、ごめんなさい)。しばらく互いにパーを出し続けていたが、ラナがグーを出すことで自ら死を選ぶ。芽衣によってラナが死ぬと、同時に隕石も消滅する。そしてエンドロール。

芽衣が不死身なのも記憶を読み取れるのも、本作『A』で初めて登場したんだけど、説明は一切ない(芽衣と敵対している「お多福様」の力ではないはずだが)。あと、化け物になってしまったケイコは蔵から逃げ出したようだけど、一体どこに行ったのか。結局、『Q』でばら撒かれた謎もたいして答えが示されないどころか、新たに謎を追加してばら撒いているじゃん。2つも映画を創っておいて、まったく収集ついていないんだけど、どうしてくれようか。

 

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