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【映画駄話】「私が大好きなアニメを見れなくなった理由はお前のせいだ」と言われたくないがために作品の批判を抑えるのがめんどくさい

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twitterで、こんなのが話題になっていた。

togetter.com

 

別にアニメに限らない話で、自分の好きなものを頭ごなしに批判されると、人格を否定されたかのように思ってしまうのは、確かにある。で、この件に対する反応を見ていると「そのとおり、批判は何も産まない」という賛同や、「他人の意見くらいで見なくなるなんて、本当に好きじゃないのでは」という反論など、賛否どちらも挙がっている。

でもなぜか誰もが「好きな作品を批判された側」に立ったうえで発言している。この漫画の作者がメッセージを発している相手は「批判をする側」だと思うのだが。というわけで、いつも批判ばかり言っているという風に認識されているのだが本当は違うボクが、ちょっと思ったことを書いてみる。

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自分がつまらないなあと感じ、はっきりその理由を説明できる作品があったとする。そんな作品が大好きだとあちこちで公言している知り合いがいたとする。まあ、黙るよね。円滑な人間関係を壊さないためにはしょうがない。知り合いが絶賛している様子を薄ら笑いを浮かべて眺めることでその場を乗り切るしかない。ちょっと探りは入れてみたりするよ。「2クール目に入ってから腐女子に媚びたシーンが増えてない?」とか聞くよ。で、「うるせえ、カラ松ガールズなめんなよ」って返されたりする。あ、今のは例が悪いな。会話が成立しないってことを言いたかったのだが。あと、リアルな知り合いで『おそ松さん』見ている人ひとりもいないし。

ともかくさあ、ストレスになるのだ、こっちも。作品について何も喋れなくなるってのは。もちろん褒めるべきところが一箇所もない作品なんてめったにないから、そこだけピックアップして話を合わせることはできるけど、なんでこんなに気を使わなきゃいけないんだって思ってしまう。コミュ力至上主義の現代社会では、「すごい」「感動した」という感情をあらわにしただけの絶賛のほうが、論理的に構築された批判よりも圧倒的に強いのだ。

一番大変なのはfacebookなんかで知り合いが絶賛しているときね。本名でネットやっている以上、ブログでもtwitterでもどうしても作品の批判は躊躇してしまう。別にボクのブログなんてリアルな知り合いは誰も見てやしないのは知っているけど「同じネット上で意見が対立している」という状況を作るのは危険だ。もうどうすればいいのか。リアルでもネットでも一切触れない、というのが最も穏便に済ませられる方法だが、けっこうつらいんだよ。見た事実そのものを自ら抹消しているようなもんだから。それって作品を殺しているのと同じだし。

一人でも多くの人に知って欲しい。批判は何も産まないのかもしれないが、「批判を言うな」というプレッシャーもまた、何も産まない。それどころか、「作品を鑑賞した」という大切な思い出をぶち壊すということを。


p.s.
あと、もう何年も映画館にひとりで行っている身にとっては、一緒に行ってくれる友達がいるだけで羨ましいっす。

 

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