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【映画ブログウォッチ】『名探偵ピカチュウ』ブログレビューを片っ端から読んでみた

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監督:ロブ・レターマン/脚本:ダン・ヘルナンデス、ベンジー・サミット、ロブ・レターマン、デレク・コノリー
配給:東宝/上映時間:105分/公開:2019年5月3日
出演:ジャスティス・スミス、キャスリン・ニュートン、渡辺謙、ビル・ナイ、スーキー・ウォーターハウス、リタ・オラ、オマール・チャパーロ、クリス・ギア、ライアン・レイノルズ

 

 

はじめに

もう1年以上前ですが、『シェイプ・オブ・ウォーター』を取り上げたブログを片っ端から読んでみたことがあります。

yagan.hatenablog.com

 

今回は、その第2弾として、映画『名探偵ピカチュウ』を取り上げたブログを、片っ端から読んでみることにしました。まず、正直に言います。なめてました。いくらなんでも『シェイプ・オブ・ウォーター』よりは少ないだろうと予想していたら、尋常じゃない数のブログ記事があって大変でした。映画ブログだけではなくポケモンの話題がメインのブログも取り上げていますし。あと、よくよく考えたらGW真っただ中なので記事を書く時間が取れるんですよね。

というわけで、対象にするのは映画公開日の2019年5月3日にUPされた「はてなブログ」のみに限定しました。映画公開のその日にブログをUPするようなバイタリティある方だけを取り上げるのもフェアではないかもしれませんが、それでも軽く60本は超えていたので、今回はこれで勘弁してください。あと、がっつりネタバレしてますので、ご注意を。

 

 (なお、ブログ引用の際は、文字の大きさ、色、フォントなどは統一して変更しています。ブログにおいてそれらの要素は重要ですが、当ブログ内での読みやすさを優先させて頂きました。ご了承ください)

 

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原作と、連想する他の作品について

この『名探偵ピカチュウ』、ちゃんと原作があります。3DSで出た同タイトルのゲームで、内容を比較しているブログも複数ありました。

 

もちろん、この映画作品は原作と全く同じストーリーではありません。
でも、私が見たかったエンディングがそこにあったのです。もう、めちゃくちゃ報われました…。

かくして、私が一番期待していた「原作では描かれなかった結末が見たい」という部分を この映画作品は叶えてくれたのでした。

映画 名探偵ピカチュウ 感想: 3年待った『名探偵ピカチュウ』のエンディングがここにある - えきふの夢

 

ただ、同じポケモン絡みでも、原作よりも多く名前の挙がっていた作品がありました。

 

鑑賞してまず驚いたのが、そのプロットである。まさかの、『ミュウツーの逆襲』が下敷きになっているのだ。ポケモンと人類が共に生きる世界観と、その裏で行われる、遺伝子操作と人間のエゴ。それに振り回されて哀しい運命を背負ったミュウツーと、ピカチュウとの絆を武器に危機に立ち向かう主人公。もちろん、ストーリーそのままという訳ではないが、確実に影響を受けていると思われる。

感想『名探偵ピカチュウ』 実写版ポケモンによるまさかの『ミュウツーの逆襲』再演に驚嘆! - ジゴワットレポート

 

しかもさ、状況が完全に『ミュウツーの逆襲』とそっくりなんだよね!

もともと人工的に作られたポケモンという設定だけれど、それを踏襲している。さらにいえば、カントー地方で20年前に発見されて、現在はいなくなったということだけれど、おそらくあのミュウツーの逆襲と同一個体なのではないか? と想像させる!

しかもさ、あのミュウツーが『人間は悪だ?』の後に繋がるセリフをいうだけで、思わず目頭に熱くなるところがあるじゃない!

映画『名探偵ピカチュウ(吹き替え版)』ネタバレ感想&評価! あのポケモンたちが動いているシーンを見るだけでも大興奮! - 物語る亀

 

また、もはや老害にもなっている私たち世代が大好きな『ミュウツーの逆襲』がストーリーの下敷きになっているのもポイントが高い。

ポケモンと人類が共に生きる世界観とその裏で行われる遺伝子操作と人間のエゴという科学の功罪(あのやたらとハイスペックなミュウツー絶対捕まえるボールとビームも再登場する)

そしてそれに振り回されしまったミュウツーと、ピカチュウとの絆を武器に危機に立ち向かう主人公。あの作品ほど重厚さのある哲学的なストーリー性はなかったものの(老害的発言)ファミリーでも安心して観れるまとまったお話になっているなと思いました。

ポケモン初代世代直撃の映画『名探偵ピカチュウ』感想。それはまるで夢のような - 社会の独房から

 

1998年公開のアニメ映画『ミュウツーの逆襲』が、よく挙がっていました。不勉強で観たことないんですが、すいぶんと重厚な内容のようです。「哲学的なストーリー性」なんですか。

個人的なことを白状すると、ほぼポケモンとは無縁に育ってきた(最初のブームの時は高校生でしたし)ので、ボクの中でポケモンと言えば『ポケモンGO』なんです。でもこれについて触れている人は少なかったです(ヒロインの格好くらい)。一連のポケモン作品と『ポケモンGO』は別物なんですかね。

 

異種が共存する世界
凶暴化するポケモン(動物)
バディを組んで事件解決

というキーワードを並べてみると、ディズニーが手掛けた名作「ズートピア」に似たような映画だったなぁ~というのが僕の率直な感想。

映画「名探偵ピカチュウ」感想ネタバレあり解説 ポケモンやったことないんだけどカワイイのは間違いない。 - モンキー的映画のススメ

 

ただまあ、既視感が否めないのも事実なんですよね。ポケモンが我を忘れるガスがある時にミュウツーの力でポケモンに人の意識をぶち込んで人類を一歩先に進化させるという発想自体はまあ人類補完計画という言葉が浮かぶのはしょうがないっすよね。そんでパレード中にそのガスの入ったバルーンを割るっていうのも、どことなくティム・バートン版「バットマン」のジョーカーを思い出させます。ずーっと冒険してきた相棒が実は自分の父親だったパターンは、KUBOでやってました。

ついにピカチュウハリウッドデビュー!!「名探偵ピカチュウ」感想 - 抹茶飲んでからマラカス鳴らす

 

いや、すごい面白かったです。これは胸張って言える。全体の雰囲気としてはポケモン版レディプレイヤーワンみたいな感じだけど、ストーリーもまとまりがよくて(レディプレイヤーワンがまとまってないみたいな言い方)観てて気持ち良かった!つまり一時停止して細かいところまで見たい映画です。

名探偵ピカチュウ観に行ったらおっぱげた - ひとりごと

 

ポケモンとは無関係の作品を挙げていた例。『ズートピア』を挙げていたブログ記事はいくつか見ましたね。「一時停止して細かいところまで見たい」の例で『レディ・プレイヤー1』を出すのは巧いかも。

 

主人公と自分を重ねる傾向

ところが、この映画では まさにそういったくらいの「子どもの頃はポケモンを楽しみ、知識もそこそこあるけれど、すっかり更新が止まってる世代・ポケモンにたいするスタンスの人間」が、この映画の主人公・ティムだったのです。

映画『名探偵ピカチュウ』を観ました。 - ドアの猫穴

 

主人公のティムは「昔はポケモンが好きでポケモントレーナーを目指していた」という設定なのだが、それは子供の時にポケットモンスター赤緑青、ピカチュウ版に出会い、電池を何個空にしたか数えられない程プレイして遊んだものの大人になるにしたがい何時の間にかポケモンから離れていったアラサー時代の私と重なる事が多く、そんなティムがピカチュウと触れあっていく内に少しずつポケモンと打ち解けていき、自分の中の大切なモノを思い出し、最終的にはピカチュウが大切なパートナーになる。

  ポケモン初代世代直撃の映画『名探偵ピカチュウ』感想。それはまるで夢のような - 社会の独房から

 

主人公ティムと自分を重ねる方も多かったです。「昔は熱中していたけれど現在はポケモンから距離を置いている」という設定が、少なくない人にシンパシーを与えているようです。もはやポケモンは、若かった頃の日々を思い出させるノスタルジーのようなものみたいです。

 

「友人にポケモンを持ってない事を心配される」

という世界観よ…
友人にも心配されてるし、ライムシティ言ってからも「ポケモンいないの?」って二回も聞かれるんですよティム。恋人いないの? ご結婚はされてないんですか? ってノリで聞かれるんですよ…フォロワーが、ポケモンいないの?がハラスメントになる世界って言ってて、それですよ!と。

映画「名探偵ピカチュウ」ネタバレ感想と深読み - 017のネタ帳

 

別方面での共感(書き手が共感しているわけではないですが)もありました。ポケモンがいないことは恋人がいないことと同じような扱いをされると思うと、急に親近感が沸きます。

 

主人公ティムは、ポケモンマスターの夢をあきらめた過去がある。初めはカラカラの前を通り過ぎようとしたが、友人からモンスターボールを手渡された主人公ティムは、その気になる。目の前にポケモンがいて、手にはモンスターボールを持っていいる。もう、やることは一つ。どんな過去を持っていようと関係ない。人は無条件にポケモントレーナーになってしまうものなのだ。

本日公開!映画「名探偵ピカチュウ」を観てきた感想(ネタバレあり) - 書くザトウクジラ

 

「人は無条件にポケモントレーナーになってしまうものなのだ」、こういう無責任な言い切り、好きです。

 

ポケモンの造形

ポケモンのリアリティさ?というのかアニメーションと実写版の作品をここまできれいに表現できるとは想像以上でしたね。リザードンの恐竜っぽい質感や、コダックの硬そうなくちばし、毛の生えたポケモンのふさふさ感はすごかった!

【名探偵ピカチュウ】ネタバレあらすじと感想を徹底解説!評価と見所もご紹介。 - ジムブロ。 IT企業で事務職のボクにブログ暮らしができるのか!

 

あとあと!自分の中での「ベストオブかわいい」は、フシギダネ!

いやだって、あのキュートっぷりはヤバいっしょ!全体的にモフかったり生々しかったりするポケモンの中では、かなり原作に近い姿形。それでいてリアルな“生物”っぽくも感じられて、しかも「キューキュー」って感じで鳴くんだよ!?さらにはそれが群れで出てくるんだぜ!?あんなんゲットするしかないっしょ!ひゃっほぅ!キミに決めた!

赤緑世代の目線で観た『名探偵ピカチュウ』は紛れもない“ポケモン映画”だった(ネタバレなし) - ぐるりみち。

 

ポケモンの造形については、ほとんどの方が触れていましたね。皆さん、ポケモンについて語り出すと口調が熱くハイテンションになっていきます。ポケモンメインのブログでは、各キャラクターそれぞれについて詳細に語っていたりもしていました。

 

ピジョットが普通の鳥みたいに飛んでる時点で既にもうオタクが死ぬ前に見る夢………

ポケモンの映画 - 包んでイキる

 

そこまで言わせるほど日本国民の心を掴んで離さない、ポケモンなるモンスター。

 

ストーリーは賛否別れる形に

二転三転する展開の中でしっかりと“探偵”していたし、散りばめられた伏線の回収も鮮やか。ラストの展開は完全に予想外だったし、「それも伏線だったのかー!」と驚かされるポイントも2つや3つだけではありませんでした。何か単語を出すだけでもネタバレになりかねないので、詳しくはぜひ劇場で。

 赤緑世代の目線で観た『名探偵ピカチュウ』は紛れもない“ポケモン映画”だった(ネタバレなし) - ぐるりみち。

 

こちらの方はストーリーを絶賛しています。しかし残念なことに、ストーリーに不満を持つ方も多かったようでして。

 

物語のほとんどがティムやピカチュウが解き明かすものではなく、誰かに教えてもらった情報を元にどっかへ行き、偶然のようにトラブルに巻き込まれる……ということに繰り返しで、全く名探偵要素がなく、面白みも少ないのは大きな問題だ

 映画『名探偵ピカチュウ(吹き替え版)』ネタバレ感想&評価! あのポケモンたちが動いているシーンを見るだけでも大興奮! - 物語る亀

 

誰かしらに手がかりがあるところを教えて貰う
→そこに行くと都合良く、ホログラム映像が再生されて、手がかりを得る

ってなことの繰り返しで、またそれかよ!って感じでした。

探偵の仕事って、案外楽なのかもしれませんね。

こんな調子で話が展開していくので、特に主人公の成長も感じられず、いつの間にやら問題が解決していく感じが強かったです。感動を得ようって方が難しい。

『名探偵ピカチュウ』を見て - あああああ日記

 

ミステリ要素が少なく、単調な繰り返しの構成を指摘する方が複数いました。他にも、悪役の詰めの甘さやヒロインの無意味さなど、細かい指摘は多かったです。

 

ピカチュウの正体は「なるほど~」と納得したし感動もしたが、同時に「主人公とピカチュウとの友情じゃなかったのか?」とモヤモヤした気持ちにもなったこと。

映画名探偵ピカチュウの感想・レビュー|アメリカ人はよくポケモンを理解していた!※ネタバレ注意 - やすおかのポケモンなどブログ

 

箇条書きでさらっと書かれた一文ですが、割とストーリーの根幹に関わる指摘かもしれません。

また、そもそもストーリーにほとんど触れていないブログも多かったです。とにかくポケモンのいる世界観にどっぷり浸かれたので満足だった方が多く、そういう目的で観るべき映画なのかもしれません。

 

おわりに

そう考えると、ピカチュウが最後、人間の身体に戻る、というのは物語上の必然なのかもしれませんね。我々は人間としてやっていかなくちゃいけない。時々は現実逃避していいけれど、人間としてやっていかなきゃいけないのです。

映画「名探偵ピカチュウ」ネタバレ感想と深読み - 017のネタ帳

 

映画館の中でポケモンと共存する世界観にどっぷり浸かった我々に向けたメッセージを引用して、終わりにしたいと思います。

 

 

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