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【邦画】最近観た邦画レビュー--『ファミリア』『そして僕は途方に暮れる』『映画 イチケイのカラス』

 

注意:直接的にラストには触れていませんが、未見の方はネタバレにご注意ください。

 

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『ファミリア』
監督:成島出/脚本:いながききよたか
配給:キノフィルムズ/上映時間:121分/公開:2023年1月6日
出演:役所広司、吉沢亮、サガエルカス、ワケドファジレ、中原丈雄、室井滋、松重豊、MIYAVI、佐藤浩市

古びた団地で肩身を狭くして暮らしている在日ブラジル人と、山里でひとり暮らす陶器職人の交流を軸にして、失敗したまま放ったらかされている移民ビジネスの問題点を浮き彫りにしようとしている。が、その狙いは成功しているようには見えない。何より、在日ブラジル人を執拗にいたぶる悪役に圧倒的な"憎む理由"を与えてしまっているために、社会問題は現実から切り離され、矮小化してしまっている。パンフレットによると、"憎む理由"が追加されたのは演じるMIYAVIからの提案らしいが、そこを毅然と断るのが監督やプロデューサーの役目ではないか。
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『そして僕は途方に暮れる』
監督&脚本&原作:三浦大輔
配給:ハピネットファントム・スタジオ/上映時間:122分/公開:2023年1月13日
出演:藤ヶ谷太輔、前田敦子、中尾明慶、毎熊克哉、野村周平、香里奈、原田美枝子、豊川悦司

三浦大輔による舞台を本人の監督によって映画化。他者から自分を否定されると反論せずに逃げては別の他者の元に転がり込むというサイクルを繰り返すフリーターが、ついにその成れの果てまで辿り着く。三浦監督の過去作『何者』において原作小説に付け足したオリジナルの要素と同様、人生のフィクション化に極めて意識的であり、そこに救いがあるのだと今回もまた全幅の信頼を寄せている。絶体絶命の状況に対して「面白くなってきやがったぜ」と気恥ずかしい一言を衒いなく言えるのは、ある種の才能であろう。
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『映画 イチケイのカラス』
監督:田中亮/脚本:浜田秀哉/原作:浅美理都
配給:東宝/上映時間:119分/公開:2023年1月13日
出演:竹野内豊、黒木華、斎藤工、山崎育三郎、柄本時生、西野七瀬、田中みな実、桜井ユキ、水谷果穂、向井理、小日向文世

東京地方裁判所第3支部第1刑事部(イチケイ)を舞台にしたテレビドラマの劇場版だが、今回の舞台は岡山県で、大企業の工場に雇用を頼り切った地方都市が抱える闇に切り込んでいく。主に主演2人の戯画化されたキャラ付けによって基本的にはコミカルなノリなのだが、その延長線上でシャレにならない殺人や放火も起きているし、"善良な一般市民"を糾弾していく展開には、何かしらアンタッチャブルな部分を抉っていくようでもある。リアルな部分で引っかかる点は多いが、テレビドラマの劇場版にしては意外にも野心を感じる。
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