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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『愛なのに』『ムーンライト・ダイナー』『CODE-D 魔女たちの消えた家』

最近観た邦画3作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『愛なのに』
監督:城定秀夫/脚本:今泉力哉、城定秀夫
配給:SPOTTED PRODUCTIONS/上映時間:107分/公開:2022年2月25日
出演:瀬戸康史、さとうほなみ、河合優実、中島歩、向里祐香、丈太郎、毎熊克哉

昨今の倫理観では完全アウトとされる恋愛感情もしくは性愛行為を、当人にとっては重要なのだと肯定的に描写している。それにより、人を愛する想いは社会のルールよりも先立つのだという本来は当たり前の事象を観客にも再認識させて、価値観を揺るがす狙いは極めて野心的だ。特に、30歳の男に熱烈なアプローチをする女子高校生を純愛として描く行為は、過剰なコンプライアンスが蔓延る現代日本に対する挑戦状でもある。
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『ムーンライト・ダイナー』
監督&脚本:神威杏次
配給:TEAM KAMUI/上映時間:107分/公開:2022年3月5日
出演:菅井玲、中川ミコ、坂本三成、平塚千瑛、萩田博之、加賀谷崇文、平野尚美、磯崎美穂、蜂谷英昭、小林一三、野々のん、筒井巧、萩原佐代子、牧野美千子、伴大介、永井一誠、水希友香、工藤俊作、神威杏次

小さなダイナーに風変わりな人々が集まってくる序盤では、いかにも謎めいた人物造形や、どこの国とも判然としない空間演出(銀行から盗まれた札束はドルだったりする)など、舞台の作り込みに不思議な吸引力があり、期待をそそられる。ただ、中盤の会話劇がメインになると、ひとつのシーンが長すぎるのか、どうしてもダレる印象は否めない。また、序盤のミステリ風味から期待値が上がってしまうが、結局のところ種明かしの部分が弱く、肩透かしを食らうのが残念。せっかく無国籍のような雰囲気を出しているので、新大久保と書かれた看板は映してほしくなかった。
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『CODE-D 魔女たちの消えた家』
監督:古本恭一/脚本:水津亜子
配給:?/上映時間:104分/公開:2022年3月5日
出演:水津亜子、新宮明日香、Sufa、まひろ玲希、黒岩よし、藤生眞有、石月かなで、Jill、川相真紀子、きた、ショウジ、太三、齋藤忍、古澤徹、緒宙美香、古本恭一、大久保良太

すべての国民が政府によってランク付けされた近未来日本が舞台のディストピア映画。山奥の山荘で共同生活を送る最下層のDクラスの女性たちの元に、謎の男が侵入する。ありがちなワンシチュエーションの設定で、しかもほとんど山荘だけが舞台でありながら、一定の色調によって創出された画面の雰囲気と、人間同士の交差によって状況を常に変化させることで、緊張感は常に保たれている。状況を説明過多にせず、観客に判断を委ねているのも効果的に働いており、ここ最近に池袋シネマ・ロサで上映された低予算映画の中では、頭ひとつ飛び抜けている。
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