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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『ノイズ』『さがす』『桃源郷的娘』

最近観た邦画3作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『ノイズ』
監督:廣木隆一/脚本:片岡翔/原作:筒井哲也
配給:ワーナー/上映時間:128分/公開:2022年1月28日
出演:藤原竜也、松山ケンイチ、神木隆之介、黒木華、伊藤歩、渡辺大知、酒向芳、迫田孝也、鶴田真由、波岡一喜、菜葉菜、寺島進、余貴美子、柄本明、永瀬正敏

地方の排他的な閉鎖性は、今やエンタメを盛り上げるための素材として当たり前に用いられるようになったようだ。実のところ死体が見つからないよう右往左往する『ハリーの災難』を彷彿とさせる話で、横暴な県警役の永瀬正敏を含めてキャラクターも適度に記号的であり、脚本だけなら喜劇寄りである(死体が増えていくところとか)。だがそこに、叫ばない藤原竜也などのいかにも意味ありげな芝居と、廣木隆一監督お得意のカメラをゆっくりと動かす長回しによって、何やら重厚に見せかける戦略は成功していた。部屋の壁に写真をベタベタ貼って「この人は異常です」って表現する演出は、いい加減やられ過ぎて効果が無くなっている気もするが。
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『さがす』
監督:片山慎三/脚本:片山慎三、小寺和久、高田亮
配給:アスミック・エース/上映時間:123分/公開:2022年1月21日
出演:佐藤二朗、伊藤蒼、清水尋也、森田望智、石井正太朗、松岡依都美、成嶋瞳子、品川徹

失踪した父を探す中学生の娘が、父の名を騙る指名手配中の連続殺人犯と遭遇する。時間軸の移動や多視点を用いた種明かしなどミステリ要素を用いた周到な仕掛けにより、意外とエンタメに振り切れた図式的な話なのだが、西成の空気感など日本の土着的なもので包むことで、リアルな重苦しさとコメディのような軽やかさが同居する不思議な空間に仕上がっていた。佐藤二朗と清水尋也という、周囲にけして溶け込まない"異物"のような2人の存在感も、コメディとリアルの架け橋に一役買っている。特に佐藤二朗は、普段は作品を戯画的に誇張する役割が多いので、いつもと逆なのは非常に興味深い。
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『桃源郷的娘』
監督&脚本:太田慶
配給:アルミード/上映時間:57分/公開:2022年1月21日
出演:小宮孝泰、川越ゆい、永里健太朗、ヘイデル龍生、三坂知絵子、新納敏正、江端英久、鈴木宏侑、鈴木幸重、香川知恵子

主人公の女性が眠っているだけでお金を貰えるアルバイトを紹介されるが、実は寝ている間に裸にされて男に鑑賞されていた、という話。太田慶監督の前作『狂える世界のレクイエム』は、素人(日活の社員だそうだが)の勢いからくる歪さが魅力と言えなくも無かったが、第2作である本作は、経験不足からくる計算の破綻が際立ってしまっている。反倫理的なエロスを撮るにしては、自分の欲望を曝け出す覚悟が無い(もしくは方法が解らない)ようで、その辺のセクシーイメージビデオに完成度で負けているのがどうにも。女優を全裸にしたままの屋外でのゲリラ撮影は肝が据わっているとは感じるが、作品の評価とは別であろう。
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