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【TV】『ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅』2021/1/3---藤原紀香が「テレ東の旅番組の女性ゲスト」のポジションにすんなり納まる驚き

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テレビ東京系列
2022
/01/03 放送

 

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個人的な話からで恐縮だが、国内の一人旅を割とするほうである。それで実感するのだが、最近は旅先でのトラブルが確実に減った。理由はハッキリしていて、スマホがあるせいである。たとえば1時間に1本しかないローカル電車で降りる駅を間違えたとして、以前なら途方に暮れるしかなかったが、今ならスマホで調べれば、歩くなりバスに乗るなり、いくらでも対策を教えてくれる。ちょっとしたミスなら簡単に解決できてしまうのだ。

『ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅』は、スマホを使用せずに公共交通機関だけで旅を行う番組である。太川陽介率いる路線バスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが、それぞれ指定された交通機関のみで、指定されたチェックポイントを巡ってゴールを目指す対決モノだ。テレビ東京の人気シリーズで、すでに今回で10回目である。

今回は姫路城がスタート地点で、城崎温泉など5つのチェックポイントを巡り、お題をクリアした後、ゴールである天橋立を1泊2日で目指す。10回目ともなると両チームのリーダーは完全に慣れており、時刻表を睨んだり案内所で聞いたりと、サクサクと行程を決めていく。バスや電車が通っていない場所は徒歩移動になる(1万円分のみタクシー使用可)のだが、1時間くらいは平気で歩く。この番組を見ると、地方は自家用車が無いと暮らしていけないのだと身に染みて解る。

ともかく、両リーダーがルールに慣れきってしまっているため、旅先のトラブルという醍醐味がほとんど無く、実はあまり盛り上がっていない。以前に放送されたビンゴ対決(ビンゴのマス目がチェックポイントで、先に列を作ったほうが勝ち)のときは、どう回るかが鍵になるのでゲーム性が強かったのだが。今回は、テロップや大袈裟なナレーションで派手に装飾して、なんとか正月特番の体裁を保とうとしていた。

10回も続いてゲームの部分がマンネリ化している以上、番組を盛り上げるべくは、リーダーたちの異常な振る舞いを客観的に見られるゲストの面々であろう。「15キロ歩くのと20キロ歩くのとどっちがいい?」という謎の質問に対して的確なツッコミを入れるのが仕事だ。

村井チームの安田大サーカス・クロちゃんは、性根が腐っているなどの自身のパブリックイメージを保ちつつ、ひとり暴走する村井美樹の態度に問題提起を起こして、番組の盛り上げに一役買っていた。太川チームのアンガールズ・山根良顕も、通常の旅番組のような振る舞いをしては邪険にされるという、一般的な感覚を引き合いに出すことで太川陽介および番組の異常性を表出させる手段に出ていた。どちらも、さすがはバラエティ経験の場数が違う。

そして、藤原紀香である。おそらく番組的には、正月特番の目玉のつもりでのキャスティングであろう。しかし藤原紀香、良くも悪くも番組の中に埋没していた。序盤こそ老眼鏡の話題を出してくるなど「あの藤原紀香がそんな話するのか」という驚きがあったが、基本的に太川陽介の後を付いていくのみ。たまに発言すれば歌舞伎の話。いや、藤原紀香が悪いのではない。バラエティに不慣れな人が、こんな酔狂な企画にいきなり参加させられても、何もできないのは当然だ。それなりにバラエティ慣れしている前園真聖ですら、同じく空気に近かったのだから。

太川陽介はゴール目前で時刻表の上りと下りを見間違える痛恨のミスをする。今回唯一のトラブル発生だ。で、その程度のことで泣き崩れる62歳のベテラン俳優の異常な姿を客観的に指摘すれば、藤原紀香の存在意義を見出せたのだが、ただ慰めるのみ。人としては正しい行為だよ。でもバラエティのワンシーンとすれば、せっかくの見せ場をフイにしてしまったとも言える。

藤原紀香が「テレ東の旅番組の女性ゲスト」というポジションに過不足なく収まっているのは、彼女の略歴を踏まえれば驚くべきことなのだが、すんなりと受け入れられてしまったのが驚きだ。藤原紀香50歳、ついに高みから下りてきて、こちら側に来るのか。であれば、梨園の嫁トークだけではなく、陣内智則の話も解禁したほうが絶対に良い。仕事の幅が広がる。
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