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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『ライアー×ライアー』『あのこは貴族』『ブレイブ 群青戦記』

最近観た邦画3作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『ライアー×ライアー』
監督:耶雲哉治/脚本:徳永友一/原作:金田一蓮十郎
配給:アスミック・エース/上映時間:117分/公開:2021年2月19日
出演:松村北斗、森七菜、小関裕太、堀田真由、七五三掛龍也、板橋駿谷、竹井亮介、相田翔子

女子大生の主人公が女子高生のコスプレをして街にいたら、血の繋がっていない同い年の兄に告白されて正体を明かせぬまま付き合うことになる、というワンシチュエーションに物語の全てを委ねた作品。原作が少女漫画だからか、森七菜が常に脳内の独り言をハイテンションなナレーションで滔々と語り上げる。「胸が痛くなる」とかセリフにしなくても解るから。なぜ兄が妹そっくりの女子高生に夢中になっているかの理由は予想通りだが、そのための前フリが少なすぎるので不自然な結果に。ところで、少女漫画の世界では兄妹関係を恋愛の枷として用いるパターンが頻出するが、連れ子同士の結婚は法的に何も問題が無いと、もっと周知するべきではないか。
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『あのこは貴族』
監督&脚本:岨手由貴子/原作:山内マリコ
配給:東京テアトル、バンダイナムコアーツ/上映時間:124分/公開:2021年2月26日
出演:門脇麦、水原希子、高良健吾、石橋静河、山下リオ、佐戸井けん太、篠原ゆき子、石橋けい、山中崇、高橋ひとみ、津嘉山正種、銀粉蝶

東京の中に確実に存在する階層を、マンガ的に誇張するわけでもなく、淡々とした描写によってリアリズムを持って浮き上がらせる。社会システムによって形成される"不平等"な現状を、否定も肯定もせずただ存在するものとして扱うのは、『すばらしき世界』と共通していて、野心的だ。ドラマティックな出来事はほとんど起こらないが、彼女たちが無意識に選択しているからであり、それもまた世界はどうしようもなくこうなっているのだという主張に繋がる。
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『ブレイブ 群青戦記』
監督:本広克行/脚本:山浦雅大、山本透/原作:笠原真樹
配給:東宝/上映時間:115分/公開:2021年3月12日
出演:新田真剣佑、山崎紘菜、鈴木伸之、渡邊圭祐、濱田龍臣、鈴木仁、飯島寛騎、福山翔大、水谷果穂、宮下かな子、市川知宏、高橋光臣、長田拓郎、足立英、三浦春馬、松山ケンイチ

低予算のSFやホラーを観ていて、もしも贅沢な予算があったらどうなるかなと夢想することがあるが、その答えみたいな作品。いきなり数多の高校生たちが惨殺されまくるオープニングは度肝を抜かれるが、ひとつの死に多大な意味が与えられるその後の展開とのバランスが悪く、異なる時代を対比して価値観の相違を浮き彫りにする狙いを邪魔している。数名の人質を救うためにそれ以上の犠牲者が出ているが、はたして正しいのか。戦国の武士を相手に現代のスポーツマンが己の技量で立ち向かう作品の肝部分は、フィクションだから許されるギリギリのリアリティを保っていて、そんなに悪くなかったが。結局どうなったのかの状況説明を一切しないラストは単純に不親切。
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