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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『フード・ラック! 食運』『ドクター・デスの遺産 BLACK FILE』『タイトル、拒絶』『ビューティフルドリーマー』

最近観た邦画4作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『フード・ラック! 食運』
監督&原作:寺門ジモン/原作協力:高橋れい子
配給:松竹/上映時間:104分/公開:2020年11月20日
出演:EXILE NAOTO、土屋太鳳、石黒賢、松尾諭、寺脇康文、白竜、東ちづる、矢柴俊博、筧美和子、大泉洋、大和田伸也、竜雷太、りょう

精神論で全てを解決しようとする考え方は嫌いだが、食に関しては一定の効果があるのかもしれない。料理が美味しいかどうかは、食材や調理法へのこだわりなどとともに、店の雰囲気や接客態度などからくる感覚的なものも、大いに関係するだろうから。その意味で、料理人の想いこそが全てに優先して大切だと結論付ける本作も、あながち的外れでもないのだろう。その究極の形態として焼肉屋の店主がメイドカフェのように「おいしくな~れ」と料理に語りかけるわけである(ただ、その様子を客に見せなくてはいけないが)。しかしそこを認めたとしても、肉の焼かれる様子を真上からアップで撮影して和太鼓の音を被せる安直な表現には、虚無感しか発生しない。
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『ドクター・デスの遺産 BLACK FILE』
監督:深川栄洋/脚本:川崎いづみ/原作:中山七里
配給:ワーナー・ブラザース/上映時間:120分/公開:2020年11月13日
出演:綾野剛、北川景子、岡田健史、前野朋哉、青山美郷、石黒賢、柄本明、木村佳乃

火葬場で焼かれる直前の遺体を(ほぼ手続きの時間も無いのに)警察が強引に押収していく冒頭によって、脚本への信頼は最初から放棄せざるを得ないわけだが、それより壊滅的なのが演技である。ワーナー邦画の宿命なのか、まるで全ての役者に藤原竜也が憑依したかのように、誰しもが唐突に大声で喚き出す地獄絵図が繰り返される。特に「ヒーヒー」と笑うように泣く演技を、年齢性別を問わず多数の役者が全く同じようにしていたが、リアリティへのこだわりとか皆無なのか。ニュース番組で事件が取り上げられたあとも犯人が闇サイトを運営し続けているのは、さすがに警察が無能過ぎる。
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『タイトル、拒絶』
監督&脚本:山田佳奈
配給:アークエンタテインメント/上映時間:98分/公開:2020年11月13日
出演:伊藤沙莉、恒松祐里、佐津川愛実、片岡礼子、でんでん、森田想、円井わん、行平あい佳、野崎智子、大川原歩、モトーラ世理奈、池田大、田中俊介、般若

デリヘルの事務所を主な舞台とした群像劇。いわゆる"底辺"からのミニマムな視点から現代社会の有り様を露わにしようとしている。という狙いは充分に解るし、丁寧な挿話の積み上げによって一応の成功は収めている。ただ、登場人物たちのキャラクターが類型的なこともあり、性風俗を扱っていながら生々しさに欠けているため、説得力は乏しくなっている。伊藤沙莉の役者としてのポテンシャルに全てを委ねたのは正しいが、そのため映画の題名と関連付けたラストの結論が納得しづらいものになってしまっているのは、どうしたものか。
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『ビューティフルドリーマー』
監督:本広克行/脚本:守口悠介/原案:押井守
配給:エイベックス・ピクチャーズ/上映時間:75分/公開:2020年11月6日
出演:小川紗良、藤谷理子、神尾楓珠、内田倭史、ヒロシエリ、森田甘路、伊織もえ、かざり、斎藤工、秋元才加、池田純矢、飯島寛騎、福田愛依、本保佳音、瀧川英次、齋藤潤、田部文珠香、升毅

いきなり「大林宣彦監督に捧ぐ」と表示されて驚くのだが、内容的には全く関係が無い。ここ最近の邦画では飛び抜けて難解な作品で、とにかく理解が追い付かず困惑するばかり。簡単に説明すると、大学の映画研究会が自主制作する劇中作が『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』の実写版というカラクリ。なのだが、不朽の名作から数か所の断片を切り取って再現することに、大いなるメッセージ性も、ワクワクするエンタメ性も、どちらも発生していない。であれば、いつものように「内輪で盛り上がっているだけで観客不在の自己満足な作品」と結論付けたいところだが、別に制作陣も楽しそうなわけではない。本当になんなんだろう、これ。
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