「トラゥム・ライゼ」(旧上田でんき館)。
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2020/10/23(金)
信州上田へ1泊2日の旅にいざ行かんと自宅を出ようとしたところで鼻血が止まらなくなり、かなり出発が遅れる。前途多難である。
東京駅から北陸新幹線「はくたか」に乗り、上田駅で降りる。上田城を有する長野県上田市は真田家一色という感じで、マンホールから何から六文銭だらけであった。真田家の家紋だからだけど、六文銭って三途の川の渡し賃でもあるのね。こうあちこちにあると演技が悪いような気もするが。
駅を降りたら甲冑に出迎えられる。
駅の外観からして六文銭。
マンホールも六文銭。
まずは駅から歩いて10分ほどのところにある「トラゥム・ライゼ」(旧上田でんき館)を訪れる。歴史的には大正時代からある映画館だが、現在の建物は1998年に完成。実は2011年に閉館したのだが、すぐ近くにある「上田映劇」が改修工事で休館するため代替先として、一時的にこちらでの上映が復活している。というのが公式サイトの説明だが、すでに工事が終わっているのに、まだ「上田映劇」の分館みたいな立場で通常営業しているのが現時点での状況。このままなし崩し的に復活するのかもしれない。知らないけど。
何気に洒落た形のチケットカウンター。
ロビーには書籍やTシャツなどの映画館グッズが陳列されている。
元々は2スクリーンで、受付の左右両側に館内への入口表示があるが、現状使用されているのは片側のみらしい。チケットを買って会館まで小さなロビーで待っていると、常連らしきお客さんとスタッフがフレンドリーに会話している。こういう内輪な感じは地方の小さな映画館らしいが、一方で部外者の居心地が悪くなりがちにもなり、美点でも欠点でもある。
100席くらいの小さな館内。
「トラゥム・ライゼ」ではカトゥーン・サルーンが制作したアニメ映画『ブレッドウィナー』を鑑賞。観客は10人ほどだったが、平日の午前中で、人を選びそうな作品にしては少なくないのでは。内容は、タリバンが支配していた少し前のカブールを舞台に、女というだけで暴力的に抑圧されている主人公がサバイブする重い話。駅の反対側にあるTOHOシネマズ上田では取り上げられないであろう、こうした作品をかけることに地域に根差した映画館ならではの使命を感じる。
ちょうど海外アニメ特集をしていた。
映画鑑賞後の昼食は、Googleで「上田市 カレー」で検索したら出てきた「ROUTE346」という店のカレー。
カレー屋の外観。
「ROUTE346」のカレー。
店員に勧められるがままにコロッケを追加。
午後は上田駅から上田電鉄で塩田町駅という駅に向かう。なお、上田駅から隣の城下駅までは代行バスによる移動だったが、どうやら去年に起きた千曲川の氾濫から完全に復旧していないためらしい。大変な被害が連日報道されていたのに、COVID19より前のことを忘れがちなのは良くない傾向。
さて、ミスをしてしまい、塩田町駅のひとつ先の駅で降りてしまった。ここですかさずスマホで検索し、目的地である「無言館」までのナビを出す。徒歩30分と塩田町駅からと大して変わらないので、ドラクエウォークを起動させながら、畑と集落の中を歩いて向かう。どうもスマホの発達によって旅の最中のトラブルは簡単に解決するようになり、途方に暮れる機会は激減した。ありがたいことだけど、味気ない気もする。
こんな感じの道を30分くらい歩いた
「無言館」は、美大に通っていながら太平洋戦争に駆り出されて帰らぬ人となった若者たちの作品を展示している特異な場所。美術館と言っていいのかも難しい。展示されている作品そのものに芸術的な価値は(少なくともボクの能力では)見出せず、短い解説文に目を通しながら、ひたすら若くして死んだ作者たちの無念さを追うことになる。戦争の悲惨さとか陳腐な感想は出てこないけれど、なんだか変な感覚になるのは確かだ。あと、十字型の石造りという建築物の面白さは存分に感じた。
「無言館」の外観。上から見ると十字型の建物。
実際に使用されていた絵筆を埋め込んだ壁と、未来永劫どこにも配達されないポスト。
外にあるオブジェも、際限なくコンセプチュアル。
<後編へ続く>
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