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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『この世はありきたり』『カイジ ファイナルゲーム』『音楽』

最近観た邦画3作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『この世はありきたり』
監督&脚本:塩出太志/原作:岡田あがさ
配給:ガチンコ・フィルム/上映時間:63分/公開:2020年1月4日
出演:岡田あがさ、星野ゆうき、田口由紀子、松本高士、田中萌、岡本裕輝、ほりかわひろき、牛丸亮、村田啓治

55点
2007年に上演された岡田あがさの一人芝居「ワタシガタリ」を映画化。まずは倉庫のような場所で岡田あがさが延々と一人で喋り続ける。妙齢の女性が複数人を演じ分けながら妄想ともつかないエピソードを身振りを交えて喋り続けると、どうしても鳥居みゆきに酷似してしまうのだと教えてくれる(監督は鳥居みゆき主演『時時巡りエブリデイ』を手掛けている)。この一人芝居パートと、不思議な可笑しみのある日常パートが繰り返され、主観と客観が交互に重なり、ぼんやりと輪郭が見えてくる仕掛け。だが結局のところ、拒絶してきた他者に向き合うことで肥大した自意識に折り合いをつける、いつもの話に落ち着く。

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『カイジ ファイナルゲーム』
監督:佐藤東弥/脚本:福本伸行、徳永友一/原作:福本伸行
配給:東宝/上映時間:128分/公開:2020年1月10日
出演:藤原竜也、福士蒼汰、関水渚、新田真剣佑、吉田鋼太郎、松尾スズキ、生瀬勝久、天海祐希、山崎育三郎、前田公輝、瀬戸利樹、篠田麻里子、金田明夫、伊武雅刀

42点
経済の基本を何も解っていない舞台設定や、ルールが意味不明のゲーム内容などは、一旦忘れることにしよう。『カイジ』シリーズでの「思っていることを全て口に出して叫ぶ藤原竜也」は、嘲笑ゆえにイジられていた代物のはずだが、制作陣は(おそらく意図的に)話題になっていると好意的に受け取ったらしく、本作では大盤振る舞いの大サービスで辟易する。いや、「叫ぶ藤原竜也」を鑑賞する作品だと、ここはあえて自分を納得させよう。そのうえでプロット上の最大の問題は、あからさまな最後の一手(カイジが元時計職人と接触したシーンの直後に巨大な時計が登場する)が邪魔になっている点。この最後の一手のせいで、「叫ぶ藤原竜也」は演技なのか素なのか判断できず、純粋に消費することができない。唯一の売りすらまともに提供できていないのは酷い。

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『音楽』
監督&脚本:岩井澤健治/原作:大橋裕之
配給:ロックンロール・マウンテン/上映時間:71分/公開:2020年1月11日
出演:坂本慎太郎、前野朋哉、芹澤興人、駒井蓮、平岩紙、山本圭祐、大山法哲、鈴木将一朗、林諒、早川景太、柳沢茂樹、浅井浩介、用松亮、澤田裕太郎、後藤ユウミ、小笠原結、松竹史桜、れっぴーず、姫乃たま、松尾ゆき、天久聖一、岡村靖幸、竹中直人

72点
大橋裕之の漫画をアニメ化。音楽素人の不良高校生がふと楽器を手に入れたところから舞台に立つまでの過程が、現実性はおろか作劇としてもメチャクチャで、おまけに倫理的にも間違っているのに、「音楽とは本来こういうものだろ」という尋常じゃない説得力を纏っていて、圧倒される。主人公を演じるのがプロの声優ではなかったこともあり、セリフに入るまでの長尺の間が空く独特のテンポで、不思議な心地よさがある。名盤ジャケットを取り込んだアニメならではの心象風景など数々の刺激が内蔵されており、2020年最初のドラッグ・ムービーとして圧巻の出来。

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