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【TV】『明石家笑業修学旅行~お笑い向上の旅~』--ひとりだけ特別待遇されるダイアン・ユースケへの違和感の正体

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『明石家笑業修学旅行~お笑い向上の旅~』
2019年11月23日 フジテレビ

 

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TVでの笑いにおいて、明石家さんまが唯一無二のルールブックとなって久しい(島田紳助が引退して以降、この傾向は加速しっ放しである)。『さんまの向上委員会』は、中川家などによる客観的な目線で捉えることで、ルールを強制する明石家さんまの姿そのものを哀愁あるものに再構築し、笑いに変えている。そのため、この番組に限っては、時代とずれつつある明石家さんまの痛々しさは、あまり感じない。

明石家さんまの件は別の機会にとっておく。先日、『向上委員会』の特別編『明石家笑業修学旅行~お笑い向上の旅~』という番組が放送された。これは、明石家さんまの前で数多の芸人たちが京都を巡りながら随所でボケ合戦をする内容である。で、出演していた芸人の中で一番気になったのが、吉本のお笑いコンビ・ダイアンのユースケ(西澤裕介)なんである。いや、ユースケ自体というよりは、関西から関東へ進出してきた芸人の扱いについての、最近の傾向が気になるのである。

千鳥の成功以降からだろうか、関西ローカルで活躍していた吉本芸人が関東に進出してきたとき、その進出自体を声高にアピールするようになっている。最近では、引っ越しの時期すらもTVで大っぴらにされているし。それと同時に、「関西のTVでは、こういう感じでした」と最初に宣言して、「なので関東でも同じように扱ってくださいね」と向こうから言ってくることが多くなった。初心に戻って一から出直すわけではなく、関西で確立されたキャラクター性も一緒に関東に持ち込んできて、一方的に取扱説明書を突き付けてくるのだ。

ダイアンのユースケは、関西では「ボケの最高峰」「笑いのセンスの塊」のような存在であると、関東進出時に盛んに紹介された。だが、そんな「センスの塊」を実際に見せてくれたことは、少なくとも関東在住のボクは記憶にない。何かやらかしては、「センスの塊」のはずなのにと弄られているシーンばかりだ。『くりぃむナンチャラ』で、大喜利の答えがユースケと相方の津田のどちらのものか当てるクイズ企画の時、散々な言われようだった答えがユースケのものだったりとか、そんなのばっか。

ユースケというダサい芸名に変えたのも、ブサイクと言われるのを本気で嫌がるのも、「センスの塊」という共通認識があってこそ「だから逆に」が成り立つ。でも、前提となる「センスの塊」の部分は、一方的な通告でしかない。それが事実かの確証がないまま、「センスの塊」なのにこんなことしちゃっているという姿だけを延々と見せられている。こちらとしては、もやもやしっ放しである。

で、『明石家笑業修学旅行』である。芸人たちは高校生という設定で学ランを着ての出演だが、ユースケはベテラン俳優・岸大介なるキャラクターに紛争して、太秦映画村でのロケから途中参加。その後は最後まで「岸大介」のままであった。モノボケも大喜利も、たいして面白くないのだが、そのたびに「ベテラン俳優だから、本職の芸人とは違う」と擁護されていた。ひとりだけ、面白くない笑いが正解の立場だったのである。「岸大介」はユースケの持ちネタではあるのだが、それにしたって芸人としては楽なポジションだろう。

なぜユースケだけが、こんな特別待遇を受けているのか。ジミー大西や村上ショージといったベテランでもなければ、岩井ジョニ男のように『向上委員会』内で特殊な立ち位置にいるわけでもない。特別待遇の理由はやはり、「センスの塊」という共通認識を周囲が無理矢理に受け入れているからではないか。

ユースケ自体には、別に文句はない。現状での立ち位置を必死に活用しようとしているだけで、それは何も間違っていない。ただ、関西でのキャラクターを関東でも無抵抗に受け入れている現状が、何か大きなひずみになりやしないかと、心配になっているだけだ。同じような件で、「ミキの亜生がカワイイと女子に大人気」ってのも、かなり心配である。

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