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【邦画】『ザ・ファブル』ネタバレ感想レビュー--身体能力の高さを見せつけても覆面を被せられていては岡田准一が報われない

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監督:江口カン/脚本:渡辺雄介/原作:南勝久
配給:松竹/上映時間:123分/公開:2019年6月21日
出演:岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、南出凌嘉、加藤虎ノ介、六角精児、粟島瑞丸、モロ師岡、好井まさお、倉本美津留、藤原光博、木村了、井之脇海、藤森慎吾、宮川大輔、佐藤二朗、光石研、安田顕、佐藤浩市

 

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52点
冒頭シーンで、壁に「壁」ってテロップが出ていた。斬新。料亭みたいなところで海外マフィアと暴力団の密会が行われていて、そこに岡田准一演じるプロの殺し屋が単身乗り込んで片っ端から撃ち殺すのがオープニング。空間が狭いためにアクションの動きが小さいのが物足りないが、まあ最近の邦画にしては及第点か。収集つかないくらい大騒ぎになっているのはプロの殺し屋としてどうかと思ったが。一応これ、暗殺なんでしょ。

で、この冒頭シーン、最初からずっと岡田准一が覆面を被っている。今どき主演が誰かも知らない状態で映画を観る人がいるとは思わないけど、この殺し屋が覆面を取って岡田准一だとはっきり判明するのは襲撃が終わってからなのだ。本作は岡田准一のアクションこそが売りなのに、その大事なところで顔を隠しているのはいかがなものか。いくら身体能力の高さを見せつけても、誰だか判別できないのでは報われないだろ岡田准一。

さて、この襲撃の時に組員の持っていたスマホが偶然にも岡田准一の顔を撮影していた。そのスマホは死体を片付けた掃除屋(しかし掃除屋がどうこうできるレベルじゃないような)の手に渡るが、襲撃犯を追っている殺し屋・フード(福士蒼汰)によって奪われる。フード、このスマホに岡田准一が写っていることは知る由もないなのに、なんでそこまで執着するのか皆目不明であった。この映画、こういうエスパー展開が何度もある。

で、言わずもがな、スマホの写真に映っている岡田准一は覆面を被っているわけである。そんな写真のみを手掛かりに、東京からはるばる大阪まで延々と人探ししてるんだよ。覆面の写真を見せて「こいつ、知ってる?」って聞きまわっているのだが、バカなのか。もしかしたら、この世界における覆面って顔を隠すためのものじゃないのかもしれない。

本編は殺し屋のファブル(岡田准一)が一般人として平穏に暮らすよう命じられるという話。大坂の暴力団・真黒組の若頭・海老原(安田顕)に自宅をあてがわれ、「普通」の生活をしようと挑戦する。無表情で枝豆を皮ごと食べると、知り合った一般人のミサキ(山本美月)から「普通、皮は食べない」と指摘されたりして、「普通」とは何かを模索するファブル。異なる常識のズレによって笑いを産もうとしているんだけど、まあ上手くいってないわな。一般庶民の側に佐藤二朗がいるけど、あの人の演技は庶民の「普通」からほど遠いし。あと、いい加減これを毎度のように指摘するのも嫌気がさしているんだけど、枝豆を落として「落ちた」と口に出すのとか、やめてくれないか。

ストーリーの説明はバッサリと飛ばします(ご都合主義が多いけど、話の骨格はそんなに酷くは無かった)。いろいろあって、海老原の舎弟・小島(柳楽優弥)と一緒にいたミサキは、真黒組の幹部で組を乗っ取ろうと画策している砂川(向井理)率いる一味に拉致される。で、小島を助けるために最強の殺し屋がやってくるかもという話になり、たまたま一味に加わっていたフードがスマホの写真を見せて「その最強の殺し屋ってこいつか」と聞くと、ファブルと顔を合わせている小島が「そうだ」と言う。いやだから、覆面を被っている写真なのになんで解るんだよ。あと、小島がファブルの正体を知る描写は無かった(こいつは只者じゃないと感じた程度)と思うけど、なんで最強の殺し屋だって知っているの?

一方のファブルは海老原(言い忘れていたけど、海老原は入院中)と小島が同居している部屋に侵入し、血痕とミサキの写真集(売れないグラビアアイドルだった)があるだけで2人とも拉致されたと、やっぱりエスパーばりの推理をする。小島とミサキに面識があることすら知らないのに、マジすげえ。で、一刻を争う状況なのにやたらのんびりと準備をした後、砂川の拠点であるゴミ処理場(海老原から場所を聞いていた)に侵入すると、真っ先にミサキの監禁されている部屋へ向かう(なんで位置が解るのか)。一方の砂川は、消されていく監視カメラからファブルの導線を割り出し、目的は小島ではなくミサキかと気づく。だから、なんでそれだけで全てを把握できるんだよ。この世界では、誰も彼もがエスパーなのか。

で、クライマックスは単身乗り込んだファブルvs大量の砂川一味による銃撃アクションが繰り広げられる。ただし人を殺してはいけないと言われているので、ファブルは殺傷能力の無い弾丸を用意している。と思いきや、さっさと敵から銃を奪って使っていたけど。銃撃アクション自体は、冒頭シーンと同じく空間が狭い中で人数ばかり多いので、途中から敵がヤクザというよりゾンビみたいな動きをしていたが、さすが岡田准一の動きは素晴らしかった。ただ、やっぱり最初から最後まで覆面を被ったままなので、本当に報われていない。

全てが終わったあと、ミサキの目の前で別人が覆面を脱ぐことで、ファブルが助けたことは秘密にする(うすうす、気づいているが)。つまりここで初めて「覆面を被ると正体が解らない」という設定が出てくる。じゃあ、なんで今までの人たちは覆面の写真だけで正体が解ったのか。そういうところ、統一してほしいんだがなあ。

ザ・ファブル(1) (ヤングマガジンコミックス)

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