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【邦画/アニメ】『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』ネタバレ感想レビュー--ファンサービスに徹した日常回だが、突発的なキャラ改変は本編への悪影響が出やしないか?

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監督:渡邊政治/シナリオ:横谷昌宏/原作:長月達平
公開:2018年10月6日/上映時間:68分/アニメーション制作:WHITE FOX
出演:小林裕介、高橋李依、内山夕実、水瀬いのり、村川梨衣、新井里美、子安武人

 

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50点
ちゃんと事前に調べていなかったこちらが悪いのである。「大人気アニメの約2年ぶりの新作がついに、しかも劇場版で復活!」というつもりで映画館に向かったのでは、肩透かしをくらって当然だ。これは、TVシリーズの1期と2期の間をつなぐ日常回のOVAであった(すぐにソフトも発売される)。日常回というのは、メインのストーリーの間に挟まれる小休止のようなもので、普段はシリアスな展開を紡ぐ各キャラクターが、いつもと違う姿を見せるという、限りなくファンサービスに近いものである。

日常回の需要というのは充分に理解している。そもそも『リゼロ』はダークファンタジーであり、普段はどのキャラも壮絶なバトルを繰り返しているし、悲壮な死に様を何度も晒す。誰も死ぬ気配すらなく、キャラ同士の対立も無く、ひたすらコミカルな掛け合いをたまには見たくなるのは、ファンとしては当然であろう。この劇場版、『リゼロ』の肝である「死に戻り」(主人公が死ぬと、ある時点まで時間が戻る)と呼ばれるタイムリープが1度も出てこない。死んじゃったら日常回にならないから。

というわけで、「死に戻り」を繰り返すことで絶望を希望に変えるような話を勝手に期待していたボクのことは置いておくとしても、これ、日常回としても失敗しているのではないだろうか。以下、気になったことを書く。

キャラクターが別の側面を見せる、という点では、正ヒロインでもあるエミリアが特に激しい。冒頭からしばらくは、「何かを隠すようにあたふたする」、後半はワインを飲んで酔っ払ったことで「菓子を汚く食べるなどだらしなくなる」という2つの面を見せる。清楚で凛々しいエミリアのキャラクターから乖離しているが、ファンはこれを見たかったのだろうか。もはやキャラ崩壊の次元になっている気がするが。コミカルな姿を見せるにしても、元のエミリアのキャラクターと繋がる何かが必要ではなかったか。

エミリア以上の人気を誇るレムとラムに関しては、元の物語上の性格設定を更に誇張させるという、一応は正統な日常回の手段を取っている。ラムに関しては、うまく面白さに繋がっていたと思う。一方のレムだが、なんでもかんでも主人公の言うことに「さすがです!」と同調することで熱烈な片思いキャラを暴走させているが、第三者(恋敵を含む)の前でも無防備にその姿を晒すのは、やはりレム本来のキャラ設定から逸脱してしまってないか

日常回とはいえ、物語の一部だ。突発的なファンサービスだけのために、本編との矛盾が起こるようなことをしてしまうのは、自らの首を絞めることにならないか。あと、ファンサービスに徹するのなら、メインどころのキャラクターは全てちゃんと出すべきだったのでは。一瞬だけ声無しのワンカットって。最近のアニメにしては、そんなに数が多いわけでもないのに。

ここぞとばかりの「舞台となる異世界では通じない現実世界のモノの名称を出す」的なギャグがすべからくスベっていたのも含めて、どうにも巧くいっていないような。これ、日常回というより、セルフ2次創作みたい。単独で失敗するだけならまだしも、悪い意味で本編への影響が出ちゃいそうで、不安である

OVA 「 Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow 」 Memory Album

OVA 「 Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow 」 Memory Album

 

 

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