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最近観た邦画レビュー『逆光の頃』『クロス』『武曲 MUKOKU』

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『逆光の頃』

監督&脚本:小林敬一/原作:タナカカツキ
配給:SPOTTED PRODUCTIONS/公開:2017年7月8日/上映時間:66分
出演:高杉真宙、葵わかな、清水尋也、金子大地、佐津川愛美、田中壮太郎

54点
仕方ないのかもしれないが、京都の風景が映画本編を食ってしまっているところが多数。鴨川も大文字焼きも、スクリーンに映しただけで強大な力となってしまう。膨大な時間を抱えこんだ京都の風景を、手玉に取って扱うのは並大抵ではいかないのだ。なので、短編というかダイジェスト的に流されるいくつかの挿話の中で、もっとも良かったのは夜の学校で男女2人きりで用務員さんに見つからないよう隠れるという、京都とあまり関係のないシーン。普遍的な青春モノ(ただし恋愛感情ほとんど表層せず)として小林敬一監督の手腕が発揮されている。

 


『クロス』

監督:奥山和由、釘宮慎治/脚本:宍戸英紀
配給:太秦/公開:2017年7月1日/上映時間:89分
出演:紺野千春、山中聡、Sharo、前野えま、秋本奈緒美、斎藤工

61点
冒頭、ローマ表記で吉本興業と表示され、続いて鉄拳のアニメーションが流れたときはちょっと驚いた。奥山和由、今は吉本興業のエグゼクティブプロデューサーなんだそうだ。それぞれ殺人事件の加害者である2人の女性が交差(クロス)することで、それぞれの贖罪(十字架=クロス)が描かれる、ということか。贖罪というよりは、どうやって過去の呪縛から逃れようとするか、ってことかも。それよりも、一方の殺人犯の夫で、もう一方の殺人犯に惹かれていく男(山中聡)の不条理ともいえる行動が末恐ろしかった。予算の関係もあるのか、城戸賞受賞の脚本から後半を大きく変更していて、それによって中途半端な救いがラストに生まれてしまっている。好みかもしれないが、個人的には脚本段階での話のほうが良い。

 


『武曲 MUKOKU』

監督:熊切和嘉/脚本:高田亮/原作:藤沢周
配給:キノフィルムズ=木下グループ/公開:2017年6月3日/上映時間:125分
出演:綾野剛、村上虹郎、前田敦子、風吹ジュン、小林薫、柄本明

62点
徹頭徹尾、綾野剛を際立たせるためだけの映画だとすれば、彼の身体性も相まって素晴らしく仕上がった映画かもしれない。綾野剛に対峙する存在として村上虹郎が配されているが、尺を使ってバックボーンを提示されるものの、海で溺れた過去もヒップホップも、綾野剛との対比するにあたってどういう必要があるのか読み取れなくて困る。あと前田敦子はどこに行ったのか。これは映画の論法としてだが、最後に出さなきゃいけないんじゃないか。

 

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