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【邦画/アニメ】『メアリと魔女の花』感想レビュー--これからもアニメ映画を作るのなら、意識すべきは宮崎駿じゃないぞ

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監督:米林宏昌/脚本:坂口理子、米林宏昌/原作:メアリー・スチュアート
配給:東宝/アニメ制作:スタジオ・ポノック/公開:2017年7月8日/上映時間:102分
出演:杉咲花、神木隆之介、天海祐希、小日向文世、満島ひかり、大竹しのぶ

 

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52点
困惑である。映画が始まってから終わるまでずっと、困惑しかしていなかった。冒頭のシーンから凄まじい。高い建物の外壁にある細い足場を伝う少女。大量に放たれるゲル状の未知の生物。黒いローブを着て箒にのって空を飛ぶ少女。観たことあるもののオンパレードだ。もちろんジブリ映画、それも宮崎駿監督作で。

明らかに、ワザとだ。米林宏昌監督のジブリ時代の過去作(『借り暮らしのアリエッティ』『思い出のマーニー』)だって、宮崎駿とは違う別の趣が確かにあったのに。米林監督といえば、ずっとジブリで監督業を務めながら、誰もポスト宮崎駿と呼んでくれない可哀想な人である。にしたって、これでは宮崎駿に寄せ過ぎではないか。

いや、本作の最大の問題は、「過去の宮崎駿作品と比較してどうなのか」という一点でしか批評ができない、というところだ。スタジオ・ポノックは、ジブリの制作部門解体により職を失った西村義明プロデューサーが立ち上げたアニメ制作会社である。その満を持しての第一弾が「宮崎駿との比較」のみを要求してきている。

強引に、批評の幅を狭めている。あえて制作者の意図に乗って言うならば「宮崎駿作品から宮崎駿の変態性をマイナスした作品だが、プラスされているものは何もない」ということだが、そんなことを言ったって仕方なかろう。宮崎駿と比べられて欠点をあげつらわれたところで、ダメージは少ないもんな。守りに入っているとしか思えない。

宮崎駿のことを一回忘れて改めて本作を捉えれば、カタルシスの足りない凡作であろう。登場人物が少なく、メインのキャラクターとなると主人公を含めて4人くらいなのもあり、物語に起伏が少ない。また、肝心の魔法のシーンが平板すぎてノることができないのは手痛い。どこか褒めようとしても、良かったのは「宮崎駿っぽい」ところばかりだし。

それにしても、冒頭に表示されるスタジオ・ポノックのロゴ。ジブリがトトロの横顔の線画だったのと同じように、メアリの横顔の線画なんである。やっぱり意識しすぎ。ずっとこのスタンスで行く気か。これからもアニメ映画を公開していくのなら、意識すべきは宮崎駿じゃないぞ。一昨年あたりから、宮崎駿とは別方向に狂ったアニメ監督がわんさか頭角を現しているのだから。

メアリと魔女の花

メアリと魔女の花

 

 

 

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