監督:J・A・バヨナ/脚本:パトリック・ネス/原作:パトリック・ネス
配給:ギャガ/公開:2017年6月9日/上映時間:107分
出演:ルイス・マクドゥーガル、シガーニー・ウィーヴァー、フェリシティ・ジョーンズ、トビー・ケベル
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74点
原作はイギリスのベストセラー児童文学だというが、知らなかった。様々な苦悩をいくつも抱えている12歳の少年が、巨大な怪物と出会うことで、成長していくダークファンタジー。と書くと聞こえがいいが、ダークの度が過ぎている。それもファンタジー部分じゃなくてリアル部分のダークさがエグい。
まず、少年の母親は病気で今にも死にそうである。一緒に住むことになる祖母は露骨に嫌ってくる。父親は離れて暮らしており、たまにしか会えない。学校では同級生から殴る蹴るのいじめを受けている。超えるべき試練が多すぎるし、どれも重い。そんな中で怪物は「俺が話を3つするから、4つ目はお前が話せ」とかよくわからないことを言ってくる。
祖母の家で家具から何からひっくり返してグチャグチャに壊しまくるという展開があって、怪物がやったことになっているが実は少年がやっていたということなのだが、そんな経過よりも「やり過ぎ」な状況が強烈に心に刺さる。いじめられていた同級生への反撃シーンも同様だ。少年の受けている苦痛も重いが、怪物を通して行われる「反撃」のほうがさらに何倍も重くなる。そしてそれは成長には直接的には繋がらないのがツラい。
超えるべき存在が父親ではなく、母親であることが大変なのだろう。世の少年にとって、父親は超える者だけど、母親は守る者だから。少年が成長するきっかけとなるのが「母親を守れなかったこと」であるのは意味深である。
それにしても、少年の心が生み出した巨大な怪物。当たり前のようにハイレベルなCG技術が駆使され、ガサガサの質感で動き回り威圧的な声で少年をけしかける(ちなみに動きと声はリーアム・ニーソン)という存在感があってしかるべき存在なのに、本当に印象に残らない。それなりの尺を使って話していた3つの物語も、まったく思い出せない。圧倒的にリアルがファンタジーに勝っている。それこそがリアル、というわけか。
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原作小説
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