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【47都道府県すべての映画館で映画を観る企画】Vol.07 秋田編(前編)--「秋田フォーラス・シネマパレ」でサイコロを振る

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2月11日土曜日の朝、眠りから覚めて起き上がると、今まで経験したことのないほどの体調の悪さに襲われた。頭がクラクラして、まっすぐ歩けないほどだ。普通なら自宅で寝込むところだが、ここで一人暮らしによる恐怖が湧き上がる。もし今このアパートで気を失っても、少なくとも土日の丸2日間は発見されることはない。その放置された時間によって死に至るケースも考えられる。だとしたら、倒れるにしても屋外のほうが、通りがかった誰かが見つけてくれることで助かる可能性はあるのではないか。そういうわけで、秋田に行くことにした。

新宿駅では何度もうずくまるし、埼京線はいつもどおり遅れているし、車内でぐったりしていたら乗り換えるつもりの大宮駅は過ぎているし、新幹線の切符を買おうとしたら財布の中に2千円しかなくあわててATMを探すし、新幹線の車内では隣の席に「トッポ」(菓子)が放置してあってもったいないからもらっちゃおうと手にとった瞬間に隣の乗客が戻ってきて気まずくなるし、そんなこんなで秋田駅にたどり着いたのは昼過ぎであった。

 

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「秋田フォーラス」

 

今回、こんなになってまで秋田行きを強行したのは、「秋田フォーラス・シネマパレ」という映画館が今月で閉館してしまうからだ。もちろん今まで行ったこともないし、30年の歴史に対して何の感慨もない部外者ではあるが、何年か後に「あの映画館、行ったことあるんだぜ」と自慢したいがためだけに趣いたのだ。それ自慢として言える機会はあるのか、という疑問はとりあえず保留する。

「シネマパレ」は、秋田駅前にある「秋田フォーラス」という商業ビルの8階にある。このビル自体が改装のため、一旦閉館となるそうだ。そのため入っている店舗はそろって閉店セール中であった。ところで、いつも不思議に思うのだが、地方都市の商業ビルの中にある本屋って、なんであんなにも広いんだろう。「秋田フォーラス」の中にある本屋、2フロアを独占していた。

 

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上映作品たち

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「シネマパレ」の入口

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上映時間がホワイトボードに手書き。あと謎のカエル

 

「シネマパレ」の入口は、それなりにこじゃれた感じはある。老朽化により殺伐とした趣のあるビルの中に配置されたことで、なかなか味わい深いコントラストだ。ただそれよりもとにかく目に付くのは、壁という壁に貼られた閉館アピールである。ところせましと過去の上映作品のチラシが貼られ、とにかく閉館だから賑やかにやっていこうというフェスティバル感が際立つ。

 

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壁さえあればチラシが貼られている、という状態

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なんか悪ノリしだしているし

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ちょっと怖い

 

「シネマパレ」は、基本的に金~日のみ営業している、いわゆる週末映画館という形態。35mmのフィルム専門の映画館は、ここを含めて日本に2つしかない。って、入口に書いてあった。あともう一つがどこなのかは知らない(フィルム上映できる映画館はけっこう知っているけど、フィルムオンリーってどこだろう?)。上映作品は、壁のチラシからわかるとおり、フィルムでさえあれば何でもアリという感じである。フィルム撮影が当たり前だった頃は、新作も上映していたらしい。

 

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この日は「サイコロ勝負編」であった

本日公開していたのは1983年のヤクザ映画『竜二』と、1968年の東宝特撮映画『怪獣総進撃』の2本。まずは『竜二』を観ようとチケットカウンターに赴くと、妙にテンションの高いスタッフ(男性)からサイコロを渡される。サイコロを振って自分の言った数字が出たら半額になると、陽気に説明してくれる。元は1300円なので、650円になるということらしい。残念ながら当たらなかったが。

しかしこれ、ポスターを見るとサイコロの他に「ジャンケン勝負」「トランプ勝負」もある。「ジャンケン勝負」って、確率2分の1で半額ってことか。客の半数を650円で入場させてたら、採算取れないんじゃないか。採算とかどうでもいい時期かもしれないが。

 

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スクリーンと客席

 

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やたら数の多い足元灯

 

スクリーンは非常に小さい。角川シネマ新宿の小さいほうと同じくらいか。あそこよりも客席全体はずっと広いので、スクリーンの小ささが目立つ。客は15人ほどで、ほぼ一人客。年齢はそこそこ高めだが、男女比は6:4くらいだったか。『竜二』という作品だからではないだろう。『怪獣総進撃』も、ほとんど同じ感じだったので。「シネマパレ」の客層ってことか。というより、名画座の客層ってどこもこんなんか。あと、上映が始まってからも館内がけっこう明るい。それなりの数の足元灯が点いたままだからだと思われる。(映画館の足元灯問題は、一度ちゃんと考えたい)

 

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観客からのメッセージも壁一面に貼られている

 

このご時世、スクリーンの数が増えるのと反比例して、映画館の数は減り続けている。特に固定客が多いところは、最後だからと特別プログラムを組むところもある(「新宿ミラノ座」「吉祥寺バウスシアター」など)。だが多くの映画館は、ひっそりと「いつも通り」を続けたまま、終焉を迎える。どちらにせよ、その映画館なりの美学なのだとは思う。「シネマパレ」は、ある種の躁状態かと思うほど、閉館アピールをしていた。そういうことが許されるのもまた、映画館が愛されている証拠であろう。

 

『竜二』鑑賞後から1時間後、『怪獣総進撃』を観に、また「シネマパレ」へ戻る。先程と同じスタッフが先程と同じテンションでサイコロの説明をしてくれる。朝からの体調不良と長旅による疲れで、『怪獣総進撃』は半分ほど寝てしまった。まあ、ゴジラ映画の中ではあまり好きではないほうなので、別にいいが。

 

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トイレまでの道が、完全に裏動線だった

 

 後編はこちら

yagan.hatenablog.com

 

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過去の「47都道府県すべての映画館で映画を観る企画」

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