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【洋画】『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』--一番間違っているのはアリスで、一番悪いのは白の女王

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監督:ジェームズ・ボビン/脚本:リンダ・ウールヴァートン
配給:ディズニー/公開:2016年7月1日/上映時間:133分
出演:ミア・ワシコウスカ、ジョニー・デップ、アン・ハサウェイ、
ヘレナ・ボナム=カーター、サシャ・バロン・コーエン

 

57点
当ブログでは超久々の洋画です。まあ、『クリーピー』が満席だったから代わりに観たのだけれど。

前作も観たはずなのだがほとんど記憶に残っておらず、チェシャ猫が万能すぎることくらいしか思い出せなかった。あいつ、その気になったら世界をまるごと乗っ取れると思うのだが。それはさておき、本作は大人になったアリスが「不思議の国」にふたたび迷い込む話。なお今回、いきなりハンプティダンプティが登場したのだが、出番はそこだけでした。

アリスが訪れた「不思議の国」ではマッドハッター(帽子屋)が家に閉じこもっていた。マッドハッターの家族は赤の女王が反乱した時に殺されたはずなのだが、あるきっかけによって「家族は生きている」と考えるようになり、信じてくれない仲間たちと会おうとしないのだ。

アリスは白の女王に「過去に遡ってマッドハッターの家族を救って」「この世界の住人ではないあなたにしかできない」と提案され、「不思議の国」の時間を司るタイムという男の元へ行く。タイムの持つクロノスフィア(まあ、タイムマシンです)を借りたいというが、世界が崩壊するからダメと拒否される。それでもアリスはマッドハッターを救いたい一心でクロノスフィアを盗み、過去に遡る。

(ところで、「アリスはこの世界の住人ではないから」というエクスキューズが後半になってうやむやにされている気もするのだが、何かセリフを聞き逃したりしたのだろうか。)

 

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さて、ダラダラと冒頭の展開を書いたのだが、この物語で一番間違った行動をしているのはアリスである。自分たちの都合で過去を改変しようとするのもそうだし、そんなことために世界が崩壊するかもしれない危険をわざわざ犯すなんて良くないに決まっている。そもそも人のものを盗んじゃいけない。ちなみに、この物語で一番悪いのは白の女王というのも、中盤で判明する。白の女王が悪意のある嘘をついたことが赤の女王が反乱するきっかけとなったのだから。もちろんディズニー映画なので、最終的には白の女王は謝罪するし、アリスは「過去は変えられない」と悟ることで一つ成長するのだが。

でも、アリスが間違っていることは序盤でわかるため、メインとなる過去に遡っての冒険劇の部分でも純粋にアリスの立場になることができず、どうにもノれないのは確か。そのアリスを唆したのが諸悪の根源である白の女王ってのも、なんか引っかかる。哀しい原因があるとはいえ赤の女王のやってることは一応非難されるべきだとしても、タイムに関しては完全に巻き込まれているだけの純粋な被害者だし。

それにしても、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』の一番の魅力であるデタラメさが全く消え去っているのはいかがなものか。デタラメさを象徴するチェシャ猫とハンプティダンプティがほとんど出ていないのは、物語を破綻させないためか。でも破綻してこそアリスだろ、とも思うのだけれど。

 

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原作とは別物と考えたほうがいいのかも。

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