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【名画座】「ピエロ嫌い克服ナイト」@池袋新文芸坐オールナイト--バレンタインイブの夜はピエロとともに

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正式タイトルは「バレンタイン特別企画 大切なあの人へ… この順番なら大丈夫! ピエロ嫌い克服ナイト」。池袋新文芸坐がたまにやる、ネタっぽさ最優先で集客は二の次のオールナイト上映企画。思ってたよりは客いたけど。

ピエロ映画としてまっさきに思いつくアレやアレなどは取り上げず、あえて王道を外した「何これ?」みたいなラインナップだったため、新鮮に怖くてピエロがますます嫌いになった。ところで、ピエロって「つけ鼻」のイメージがあるが、実際は鼻を赤く塗るほうが主流なの?

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『ピエロがお前を嘲笑う』
監督:バラン・ボー・オダー/脚本:バラン・ボー・オダー、ヤンチェ・フリーセ
配給:ファントム・フィルム/製作国:ドイツ/公開:2015年9月12日/上映時間:106分
出演:トム・シリング、エリアス・ムバレク、ハンナー・ヘルツシュプルンク

 

ハッカーの話。去年の公開時に新宿武蔵野館で観たばかりだったので、特に感慨はない。「必ずあなたは騙される」的な宣伝が逆効果だったかもなあと、今回の再見で思った。これ、そんなに煽るほど奇想天外などんでん返しをしているわけでもないんだよね。かなり後半のほうで一度ひっくり返して、またすぐに戻してるだけ。もっと言ってしまうと、主人公たちハッカー集団がライバル視している天才ハッカーがいるのだが、この正体が「すでに登場済のアイツではないか」と観客が勝手に憶測した時点で、それが誰であろうと実際の結末より面白い話になる。なお、ピエロは、お面が数回出てくるだけです。

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江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者』
監督:田中登/脚本:いどあきお/原作:江戸川乱歩
配給:日活/製作国:日本/公開:1976年6月12日/上映時間:76分
出演:宮下順子石橋蓮司、渡辺とく子、田島はるか、中島葵

 

田中登監督による日活ロマンポルノ。「お、奥様~」「ピエロ~」という謎のラブシーンが印象的。いくら行為の相手がピエロだからって、「ピエロ~」って言うかなぁ。まあ、ピエロどうこうよりも屋根裏をさまよう石橋蓮司の無表情が怖くて仕方ない。人間椅子など、他の乱歩作品もちょいちょい出てきて、非常に淫靡。ピエロはかなり序盤で、宮下順子に脚で首を絞められて殺されます。古今東西、いろんな絞殺シーンを見たけれど、脚は珍しい。

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気狂いピエロの決闘
監督&脚本:アレックス・デ・ラ・イグレシア
製作国:スペイン/未公開/上映時間:107分
出演:カルロス・アレセス、アントニオ・デ・ラ・トレ、カロリーナ・バング

 

今回一番の問題作。というか、一番の「何これ?」案件。ゴダールとは無関係だが、キワモノと思いきや2010年に第67回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞と脚本賞を受賞している。で、内容といえば、サーカス内部において2人のピエロが1人の女をめぐって壮絶なバトルを繰り広げる。最初のほうでスペイン内戦のエピソードとか入れているもんで、画面の質感も手伝って変に純文学的な見方をしてしまうような誘導がなされている。とはいえ、圧倒されるシーンの連続で息つく暇もなく、ラストのヒロインの死に様はおそらく一生記憶から消えないであろう強烈さであった。

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『クラウン』
監督:ジョン・ワッツ/脚本:クリストファー・フォード、ジョン・ワッツ
配給:プレシディオ/製作国:アメリカ、カナダ/公開:2015年3月21日/上映時間:107分
出演:アンディ・パワーズ、アントニオ・デ・ラ・トレ、カロリーナ・バング

 

呪いの服によって主人公がピエロになってしまい、町で惨劇を繰り広げるホラー。こういう特徴的なキャラクターによるホラーは、一種のコメディとしてネタ的に消費されがち(ジェイソンとか貞子とか、とっくにアイコン化しているだろう)だが、真っ先に無垢な子供を殺している時点でそれを拒否している。で、食ってるし。ばんばん子供が殺される話って救いようがないな。ほんと、気分が悪くなる以外に逃げ道がない。なぜ完徹間近の午前4時半くらいからコレを見させられているのか。お前が自分でこのオールナイトに参戦しているから仕方ないだろって言われればそれまでだが。

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 ところで、来週から日曜日は一級建築士試験の製図講座に通うことになっているため、試験の終わる10月まで土曜日のオールナイト上映には参戦できない。そのため今回で、一旦見納めとなる。その最後が、ピエロが子供を食い殺す映画で本当に良かったのかは、深く考えないことにします。