大仏の裏側にはパイプ椅子が保管されていた
12月26日夜10時の新宿駅。ここから関西方面への夜行バスではおなじみ「ブルースター」に乗って大阪・梅田へと向かう。年末の特別料金のため最安値でも片道8000円。2列シートのため知らないおじさんがすぐ横にいて、しかもリクライニングもなし。ほとんど眠れずに梅田に着いたのは翌朝6時半。そこから地下鉄とJRを乗り継いで奈良駅へと降り立つ。
磯崎新の市民ホールや黒川紀章の集合住宅などがあるJR奈良駅周辺だが、さすが高層ビルはない。奈良公園や東大寺や春日大社といった観光名所はここから歩いて行けるが、ボクの目的は映画館ただそれだけである。駅構内のやよい軒で納豆定食を食べたあと、近鉄線の奈良駅まで徒歩で行き、そこから高の原駅まで向かう。
近鉄線には、ぼっち席があった
映画サイトなどで調べると、奈良県にある映画館は、「イオンシネマ西大和」「TOHOシネマズ橿原」「ユナイテッド・シネマ橿原」「シネマサンシャイン大和郡山」の4つだけ。しかも県庁所在地である奈良市には映画館が存在しない。砂の他には何もないとされている鳥取市にさえ小さな映画館があるのに。映画館不毛の地と思われがちだが、実は調べてみると、奈良市にも映画館はあったのである。
イオンモール高の原
大型ショッピングセンター「イオンモール高の原」の中にあるシネコン「イオンシネマ高の原」である。この映画館は、住所は京都市京都府木津川市なのだが、所在地は奈良県奈良市なのだ。どういうことかというと、地図を見ると解る。
「イオンモール高の原」は、全国でも珍しい「敷地内に県境があるショッピングセンター」なのである。あくまで住所は敷地面積の広い京都市京都府木津川市なのだが、映画館が位置するのは奈良市だ。なので「奈良市に映画館はない」というのは正確ではない。近鉄線奈良駅から20分もかからずに来られる(しかも途中で平城宮跡の中を電車が突っ切る)わけだし、奈良市の映画館であると胸を張っていいと思う。
ガラスにボクの汚いクツが写っているのは無視してください
けっこう手の込んだ看板
実際に中に入ってみると、県境の位置は床で示されていたうえに看板もあって、がっつりアピールポイントにしていた。どれほどのアピールになるのかはわからないけど。境界マニアって、そんなにいないし。上映まで時間があったのでしばらく観察していたが、事実誰も興味を示していなかった。
手前の黄色い線が県境で、超えた先が奈良市。奥にあるのが映画館
割と好意を持ったのは、モールの共用通路から映画館ロビーまで一体的につながっているところ。ショッピングモールにある映画館って、そこだけほぼ独立した位置にあることが多くて、入口も専用のエスカレーターに乗った先とか他の空間から分離しているのが一般的である。だけどここは、買い物客の動線の先に映画館のロビーがあり、非常に訪れやすいつくりになっている。
一体的な空間構成
まあでも普通のシネコンなので、おとなしく『スターウォーズ/フォースの覚醒』を観る。ここは3Dの設備もあるのだが、『スターウォーズ』は2Dのみの上映。別に他の作品が3Dというわけでもない。料金を値上げして3D上映するよりも、通常料金で2D上映するほうが集客が見込めるのかな。だとしたら、そろそろ3D離れが起きているのかもしれない。客の多くは成人男性で、席は半分ほど埋まっていた。
ヴィレヴァンが大盤振る舞いしていた
イオンシネマが初めてだったので、いろいろと新鮮ではあった。上映前のマナー啓蒙の映像も初見だったし、椅子の形も後頭部に丸いのがついている、ほかでは見たことのないタイプだった。イオンシネマ全体がそうなのか高の原だけなのかは、わからない。あと、売店では1000円とかの格安DVDが売っていた。意外とないよね、こういうの。
さて、せっかく奈良に来て『スターウォーズ』観ただけで帰るのはもったいないので、あとはごく普通の観光もしてきました。そのあたりのことは次回に書きます。
トゥース!
-----
関連記事
vol.1 茨城編
yagan.hatenablog.com
vol.3 富山編