今泉作品において技巧面での真価が発揮されるのは、室内シーンでの固定カメラによるアングルの妙においてである。無数の直線で構成された空間の中に、2人ないし3人の人物が配置され、ワンカット長回しの会話劇が繰り広げられる。
最近観た邦画4作のレビューです
最近観た邦画4作のレビューです
最近観た邦画3作のレビューです
青山霜介(演:横浜流星)は、何に対しても興味を持てず、法学部だが弁護士にも「なれない」ではなく「ならない」という空っぽな大学生。とある水墨画イベントの設営アルバイトに駆り出され、控室で弁当を食べようとしていると、謎のお爺さんから声をかけら…
高校生の森崎明日香(演:橋本環奈)は、学校ではクラス中からハブられ、いつもぼっち。とある火曜日もいつもと同じ日常をひとりで過ごしたが、自宅のベットに入り夜12時になった途端に、学校横の閉鎖された礼拝堂に転移させられてしまう。
ブラック企業に勤めるシイノ(演:永野芽衣)は、子供時代からの親友・マリコ(演:奈緒)が自殺したとニュースで知る。父親から虐待されていたのを知っていたのに助けられなかったマリコは、今度こそはとマリコの実家に突入して両親から遺骨を奪い、マリコ…
田村裕次郎(演:香取慎吾)と日和(演:岸井ゆきの)という夫婦が主人公。表面上は仲睦まじく理想の夫婦に見えるが、実は日和はネットサイト「旦那デスノート」に裕次郎への愚痴を延々と書き込んでおり、良き旦那のつもりだった裕次郎はそれを知ってしまい…
大学院生で研究一筋のアイコ(演:松井玲奈)には、生まれつき顔の左側に大きな痣がある。そんな折、友人の編集者から頼まれて取材を受け、表紙に顔写真が掲載されたルポルタージュ本が話題となる。
本作における世界は論理的な調和の形成が放棄され、不条理な空間で満ち溢れている。小学生のみー坊が訪れる砂浜は、子供たちが波打ち際で遊ぶような海水浴場なのだが、そのすぐ横で釣り人が釣竿を垂らしている。現実にはあり得ない謎の状況に面食らう。
阿部寛の役者としての特性は、「少しだけ規格外」の存在感にある。少しだけ平均的な日本人の体格から外れ、少しだけ平均的な日本人より彫りの深い濃い顔で、少しだけ声が低く圧があり、少しだけ演技が臭くオーバーである。
とにかく気になるのが、いわゆるリアリティラインの不安定さである。屈強な男たちに囲まれた橋本環奈がすばしっこく飛び回り華麗な銃捌きで翻弄するガール・アクションなのだが、その肝心のアクション部分でリアリティラインが最も不安定になってしまってい…
物語と呼べるほどの展開は存在しない。劇映画なのかどうかすら悩むほど。強いてカテゴライズすれば日常系かな。『らき☆すた』と同じジャンルかもしれない。
三木聡監督の新たなる挑戦と言い切っていい。何より、これまでの三木作品では主目的としていた、笑わせるタイプのギャグが非常に少ない。しかも、三木作品の常連でありギャグ担当の岩松了やふせえりは、メインストーリーからは完全に切り離されている。
若者の恋愛模様にSF的な要素を加えて化学反応を与え、新しい発見ができないか試みる。三木孝浩監督作品に多い、まあいつものパターンである。
VFXによる映像の迫力と密度は、ハリウッド大作にも引けを取らない。日常の風景が無秩序に崩壊して再構築していく映像では最高峰であるMCUのマルチバース描写やクリストファー・ノーラン作品と並べても、とりあえずは恥ずかしくない程度のレベルだ。
2022年6月に観た邦画4作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。
予告映像を最初に観た時に思ったのが、はたして生見愛瑠(めるる)に女子高校生の役はできるのかという疑問であった。もっとも、めるるの実年齢は20歳(※ 公開日時点)なので、別に高校3年生を演じるのには不自然ではない。
待ちに待った「Side:B」を公開日に観に行ったところ、たしかにそこには河瀨直美監督による作家性で充満していた。それもリーフェンシュタールなんて比較にならないほどの狂気に満ちた作家性が。
最近観た邦画2作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。
出版社みたいなところに勤める澪(演:小芝風花)は、経緯は知らないが、閻魔寺という寺でぬらりひょん(演:大倉孝二)や座敷童(演:池谷のぶえ)などの妖怪たちとシェアハウスして楽しく暮らしている。
最近観た邦画4作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。
大学で哲学を教えている小鳥遊遊司(演:長谷川博己)は、顔に水をつけられないほど泳ぐことが苦手だが、唐突に水泳教室に通い始め、インストラクターの薄原静香コーチ(演:綾瀬はるか)の元で泳ぎを教わることになる。
河瀨直美監督には日本のレニ・リーフェンシュタールになってほしいと、皮肉ではなく願っている。河瀨監督がその域まで到達するには、まずは本作に『オリンピア』相当の作家性が無くてはいけないのだが…。
最近観た邦画3作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。
ラブホテルで行為に及んでいる柏木(演:根本正勝)。だが、事が終わった直後にヤクザ(演:原田龍二)が部屋に乗り込んできて、「スカウトマンがスカウトした女に手を出すな」と因縁を付けられ、300万円を要求される。
いわゆるハーレム型と呼ばれる、主人公の男の周囲に好意を寄せている女が多数いる構図のラブコメ漫画には、大きく分けて2つの種類がある。ひとつは主人公の男が鈍感すぎる朴念仁で、周囲からの恋心にまったく気付いていないパターン。
東京近郊の、周囲に何もないスクラップ工場で働く秋本(演:足立智充)と谷口(演:玉置玲央)。そんな初期設定から、閉塞した地方都市での労働者階級のリアルを描いたよくある作品かと思いきや、序盤から話は予想外の方向へ転がっていく。
映画の冒頭で、「古の時代から船橋の血を守ってきた一族の末裔であるヒーロー兄妹」がいて、「バイオテロを企てている悪の組織」を早急に倒さないといけない、といった大袈裟なハッタリによる舞台設定が説明される。
蜷川実花監督の自意識の高さは、今さら説明するまでもないであろう。原作に対するリスペクトなんて微塵も無く、自分がかっこいいと思っている極彩色のヴィジュアル表現をするための踏み台としか考えていない。