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【邦画】最近観た邦画感想レビュー--『ドロステのはてで僕ら』『一度も撃ってません』『クソみたいな映画』『河童の女』

最近観た邦画4作のレビューです。直接的に文中で結末には触れていませんが、ネタバレにはご注意ください。

 

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『ドロステのはてで僕ら』
監督:山口淳太/脚本&原案:上田誠
配給:トリウッド/上映時間:70分/公開:2020年6月5日
出演:土佐和成、朝倉あき、藤谷理子、石田剛太、諏訪雅、酒井善史、中川晴樹、角田貴志、永野宗典、本多力

ヨーロッパ企画による初のオリジナル長編映画で、2分間だけ先の未来と交流できるテレビが騒動を巻き起こす。ワンカット風のカメラワークや画面の内と外に同一人物がいる状況などから、演劇では絶対にできない映画ならではのものを作ろうとする気概が感じられる(三谷幸喜もそうだが、演劇畑の人ほど映画的とは何であるか追求する傾向があるような)。未来を変えてはいけないがゆえに未来の自分に操られていく様が、SF的に深掘りしていて好感が持てる。ラストでは某アニメ映画と似た決断を迫られるが、その天秤でそっちを選ぶのは、ちょっと怖い。

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『一度も撃ってません』
監督:阪本順治/脚本:丸山昇一
配給:キノフィルムズ/上映時間:100分/公開:2020年7月3日
出演:石橋蓮司、大楠道代、岸部一徳、桃井かおり、佐藤浩市、豊川悦司、江口洋介、妻夫木聡、新崎人生、井上真央、柄本明、寛一郎、前田亜季、渋川清彦、小野武彦、柄本佑、濱田マリ、堀部圭亮

とにかくキャストが超豪華で、手練れたちによる自意識の溢れ出た演技合戦こそが本作の肝のようである(そう考えると、この中では若手なはずの妻夫木聡のスゴさが際立つ)。その中心に時代遅れのハードボイルドに固執する石橋蓮司が存在することで、各々が放つ"かっこいい俺"が更に混濁し、異様な空間が形作られている。風呂敷を広げるだけで広げて畳まない潔さは、今回は裏目だった気がするが。

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『クソみたいな映画』
監督:芝聡/脚本:石田明
配給:吉本興業/上映時間:80分/公開:2020年7月3日
出演:内田理央、稲葉友、村田秀亮、相島一之、川上麻衣子、永尾まりや、鈴木康介、ほんこん、YOU、根岸季衣、ナダル、ゆきぽよ、兵動大樹

NONSTYLEの石田明が脚本を務めた吉本興業制作の映画。タイトル通りの「クソみたいな映画」が冒頭にあり、映画館に集められてこの「クソみたいな映画」を見せられていた人たちの"罪"が後半で暴かれていく。という仕組みなんだけど、完全に時間配分がおかしく、上映時間の約7割はすでに解っていることの説明を延々とするだけで退屈。「実は、映画内映画でした」の繰り返しをやるなら、松永天馬と同じところまで到達しなきゃいけないんじゃないか。

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『河童の女』
監督&脚本:辻野正樹
配給:ENBUゼミナール/上映時間:107分/公開:2020年7月11日
出演:青野竜平、郷田明希、斎藤陸、瑚海みどり、飛幡つばさ、和田瑠子、中野マサアキ、家田三成、福吉寿雄、山本圭祐、辻千恵、大鳳滉、佐藤貴広、木村龍、三森麻美、火野蜂三、山中雄輔、近藤芳正

田舎の小さな旅館にふらりと現れた謎めいた女、という設定のようなのだが、女の側の視点も序盤から並行しているので幻想性は皆無。主人公の男との初コンタクトが川の中なので、河童の言い伝えとかけているのだろうけど、女が川の中にいる理由を先に見せちゃっていては意味が無い。ラストも騒々しさでごまかしているだけで、カタルシスは得られない(あれではすぐに警察に捕まるだけだろう)。この手の自主制作映画に多いのだが、内輪で楽しんでいるのを遠くから見ているような疎外感が強い。なお、作品とは関係ないが、パンフレットはけっこう面白い。

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